天 ページ1
恋した相手が居た。
黒を身に纏い酒の名前のコードネームでお互いを呼ぶ、本当の名前も心も知らない組織で。
「それ、カモミールティーですか?」
「…ええ。私にはこれくらいしか出来ないから」
組織の上の立ち位置にいるジンというコードネームの兄のお陰で、
ここにいることが出来てるけど、
人を騙すことも裏を読むことも苦手な私は厄介者として何人かには疎まれている。
だから私は少しでも出来ることをしようと、
今の私の唯一の仕事と言える、紅茶の炊事をしていた。
話し合ってる時にこっそり紅茶を置くだけの仕事。
もっと役に立つことがしたい。
でも、そんなこと出来る容量も器量も持っていなかった。
私をなじる意味で、彼等が呼ぶ蔑称
『穢れを知らないエンジェル』
……馬鹿げてる。
こんな世界に生きてて、そんなことあるわけないのに。
人が死ぬところを殺すところを愛憎を、いくらでも見てきた。
だからこそ、自分の手を汚すことが怖いのよ。
今透かした笑顔で話しかけてきた彼は余所者だったのに、
綺麗な顔に似合わない冷淡な性格でコードネーム持ちまで登りつめたらしいと、
どこかで聞いた。
だから彼も私を馬鹿にするのだと、そう思って今まで避けていたのに。
「美味しく紅茶を入れられるのも、誰にでもできる事じゃありませんよ」
「…、あり、がとう」
上っ面の言葉と笑顔に、私はまんまと恋に落ちてしまったのだ。
55人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鬱ネコ(プロフ) - あるとさん» ありがとうございます…!そんなもったいないお言葉…。ありがとうございます (2019年9月18日 22時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
あると(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…。実はずっと好きだった夢主ちゃんと、愛してた事を気付かずに殺してしまった降谷さんの二人がどうしようもなく切なくて…。本当に素敵な作品です。 (2019年6月13日 16時) (レス) id: ea1d837737 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - 紅蓮さん» ありがとうございます…!そんなふうに言ってもらえて本当に嬉しいです…! (2019年4月14日 17時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮 - やばいですね。なんでか、ずっと涙が出るんです。涙が止まら無いんです。 (2019年2月18日 0時) (レス) id: 1d2a9694d8 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - 雪さん» ありがとうございます~!嬉しいです! (2018年12月2日 9時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鬱ネコ | 作成日時:2018年11月23日 9時