笑顔の理由。 (ページ1)

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「慧、行ってきます」

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彼がいなくなってから、もう何年経っただろうか。

3年？･･････いや、たぶん6年だ。

悲しかったことだけは、今でもハッキリと覚えている。

幼い頃からの私の唯一の友達だったのに

ずっとずっと一緒にいられると思っていたのに

どうして？

あのときの慧はまるで＿＿

自ら車の前に飛び出す様だった。

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もう、思い出したくもない･･････

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*

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「一緒に帰ろー」

「この後俺ん家来る？」

「あはは、それでさー･･････」

私、結城(ゆうき)Aには友人と呼べる人が1人もいない。

幼い頃から、人と接するのが苦手な私は自然と孤立して行き、気づいたときにはもう遅くて･･････

高2になった今でさえ、友達の作り方すらわからない。

私の意気地無し･･････

私はいつまで独りぼっちでいるつもりなんだろう。

そんなことを思いながら学校の帰り道を歩いていると、突然雨が振り出した。

雨脚は徐々に激しくなっていく･･････

傘など用意していなかった私は、早く家に辿り着こうと走り出した。

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今日も同じように、彼のいない灰色の日常を寂しく１人で過ごす。

親も親戚も友人も誰1人心を許せる人が居ない世界で、一体何のために私は＿＿

突然足が縺(もつ)れ、前のめりになっていく。

もうダメ･･････っ

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しかしどこにも痛い感覚は無く、温かいものが私を包んでいた。

恐る恐る目を開け、見上げると

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そこには何処か懐かしい空気を纏(まと)い、黒い髪と左右色の違う瞳を持った綺麗な男の人がいた。