「好きやで」って言わせたい【S.Seiya】 (ページ8)

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「すえ」
ん？と私を見上げるすえは、不機嫌そうな顔をする。
「メッセージ、見てなくてごめんね」
「別にええよ、忙しかったんやろ？」
″ええよ″って顔をしていないすえが、ギターに視線を戻した。

「怒ってる…？」
「怒ってへんよ。いつものことやし。ちょっと心配やっただけ」
『いつものことやし』は、流石にグサッときたよ。
……確かに、いつも返すの遅いけどさ。
「寂しかった？」
「それは……うん」
「ごめんね」
それはええんやけど、と言うと、
ギターを置いたすえが、私の腕を引いて膝の上へ座らせる。

「すえ？」
「また正門のこと、『かっこいい』って言ってたな」
一瞬なんのことかわからなかったけど、ギターのことだと思い出す。
「俺は？
やっぱまだ上手くないから、かっこよくないか…？」
そりゃそうやんな、と落ち込むすえ。
末澤さん、それってもしかして…
「"嫉妬"、ですか？」
「……どうせ俺は、小さい男ですよ」
そう言っていじけてしまった。

「元々ギターができる正門はかっこいいけど、
すえは、そうやって努力してる姿がかっこいいと思うよ」
「ほんまに？」
大きく頷けば、すえの腕に力が入った。

「絶対正門より上手くなったるから」
「それは無理でしょ…」
「わからへんで、意外と才能あるかもしれへんし」
なんて、笑いながら言うすえ。

「まあ、楽器できなくても生きていけるよ」
「でも、楽器できたほうがかっこええんやろ？」
確かにそうは言ったけどさ…。
「すえは、タップしてる時が一番かっこいいかもね」
「″かも″ってなんやねん！」
と高音でつっこむと、
「Aにもっとかっこええと思ってもらえるように、タップもギターも頑張るわ」
正門ばっか見とったらあかんよ、なんて言う。

「早く上手くなってね」
「頑張ります」
機嫌もすっかりよくなって、ギターを見つめる目がより真剣になった。
早くすえのギターが聴きたいな。

─────
後日。
すえがギターを始めた理由を、まとくんとリチャくんから聞かされた。

林「楽器できる人がかっこいいって、A言うてたやんか？」
草間「あいつがギター始めたの、お前にかっこいいって思ってもらうためなんやで」
古城「……こんなに、すえをあほだと思ったことはない」
林「本気やからやめたって(笑)」

＊200%妄想です。
今まで楽器に触れてこなかった誠也くんが、Aちゃんのために楽器を始めたらいいな…と思い書きました。
事実とは異なります。