「好きやで」って言わせたい【S.Seiya】 (ページ14)

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「どうしてここに？」
「王様の命令で、『イケメンなAくんとデート』って」
「よし、デートしようか」
大子ちゃんの手を引いて楽屋を出ようとすると、腕を掴まれた。
「お前この後撮影やろ」
「丈子ちゃんいたの」
すっかり忘れてたよ、丈子ちゃんも撮影も。

「あ、女装ってもしかして、撮影のため？」
「それもあるけど……
Aくんに、会いたかってん…」
何、今の。
バキューンって効果音が聞こえるくらい、心臓撃ち抜かれた。

「よし、撮影終わったらご飯食べいこ！それまで待っててね！」
「うん、待ってる♡」

・

撮影が終わって楽屋に戻れば、
当然のように大子ちゃんはいなくて。
ただ一人、大ちゅんがスマホをいじっていた。

「……ですよねー」
「流石にあの格好で外は歩かれへん。ごめんな」
申し訳なさそうに言われたら、許すしかない。
「……奢ってあげる」
「ほんまに？ありがとう」

大ちゅん行きつけのお店にて。
久しぶりに二人きりで飲んで、
仕事からプライベートまで、たくさん話した。

ちょっとだけって決めてたのに、盛り上がりすぎて。
気がつくと、自宅のベッドで朝を迎えていた。

「あ、大ちゅん」
夜中に2件、大ちゅんからのメッセージ。

だいちゅん無事帰りつきました

だいちゅんあんま飲みすぎんようにな

後輩に迷惑かけてしまった申し訳なさと恥ずかしさで、
しばらく飲むのは控えようと思う。

大子ちゃん…実らない恋とはわかっているけど。
せめて、大子ちゃんとご飯が食べたい。
仕事なら女装もありだし、マネージャーさんにお願いしとこうかな。
職権乱用、なんて言わないでね。