017【七鬼&美門】 ページ19
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「...鬼なのか?」
声を潜めて尋ねると長い菫色の髪を揺らして首を振る。
「いや、違う。あの人たちは確かに人間。だけど...何か普通じゃない。」
俺にもちょっとよく分からないけど と少し困ったように言う七鬼に相槌を打っていると、その2人の男が俺らの横の席に座ってきた。
先程まで混んでいた店は少しずつ人気が減ってきたというのに、何故かより人の集まっているこちらにやってきた2人に目を細める。
何か気になるな、この2人...
横目でチラッと見ていると、七鬼が不思議そうな顔でこちらを見た。
「どしたの、美門。そんな気になる?」
「んー、ちょっと、ね。」
「じゃあ、俺もう1回注文していい?何か腹減ってさ。」
呑気な笑みを浮かべ、何食べようかな なんてウキウキしだしている七鬼に思わず苦笑いした。
お前、そんなに甘味好きだったっけ?
「おはぎ3つとお茶2つ」
隣の傷だらけの男が注文すると店のおばさんが元気よく奥に注文内容を伝え、楽しげに話しかけるのを見て、こっそりと耳を立てた。
「はいよー!ところでお客さん、見かけない顔だねぇ。旅行かい?」
「あァ。今日から数日間宿泊する予定だァ。」
「へぇ、そうかい。まぁ、特にこれといったもんはないけど、ここには優しくていいヤツらばっかりさ。楽しんできな。」
「あぁ。そうさせてもらう。...ところで少し気になることを耳にしたんだが聞いてもいいか?」
「もちろんいいよ。私に分かることなら何でも教えるさ!」
その瞬間、一瞬だけ2人の瞳が鋭く光り、背筋がゾワッとした。
まるで獲物を見つけた獰猛な動物のような、そんな視線だった。
「最近、妙なことが起きていると聞いたんだ。例えば...人が夜な夜な消えている、とか人が血だらけで倒れているなどといった少々気味の悪い内容なんだが。」
...え?
「な、なんだいその気味の悪い話は...!本当なのかい?何かの間違いじゃないかねぇ。」
心底驚いたようなおばさんに そうだよなァ と笑いながらお礼を言い、ちょうど出来上がった甘味を受け取った2人組。
そしておばさんがいなくなった瞬間、スっと無表情になり、ため息を零した。
「クソ...今回全然手がかりがねェ。」
「あぁ。これは結構厄介なやつかもしれないな...」
ガシガシと白髪を掻く傷だらけの男と肩に乗る蛇を撫でる男。
...この2人、もしかして。
「...鬼殺隊?」
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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時