文系と理系と美系【東海オンエア】

#33 ページ34

…







ものの数分でとしみつがやってきた。




静かな公園。






『ふふ、早いね』





と「ここしか思いつかんかった。」







私たちがいつも別れを惜しむ場所。




高校の帰り道、この公園でとしみつは右に、私は真っ直ぐ。だからここで別れるはずだったのに、




まだバイバイってしたくなくて、お互いの時間が許す限り、この公園でずっと話していた。







それ以来、遊ぶ時の集合場所も、解散場所もこの公園だ。





そんな、実家のすぐ近くの公園。








と「…A」



『…うん。』





遠慮がちに触れ合う手と、手。









と「…Aは、俺といて、幸せ？」





『そりゃあもう。溶けちゃうくらい、幸せだったよ』





と「また、俺と…………





俺と、一緒にいてくれる？」





繋ぐ手に力が篭もった。






『としみつは、それで幸せ？』




と「Aが、幸せなら。」





向き合って、抱き寄せて。





目が合って、それを合図にキスを…









『……大好きだからさ、

もう、別れようなんて言わないでね？』





と「絶対言わん。もう二度と言わん。」






『私も。言わんというか、言えん気がする』








お互いが、互いに依存している。



幸せすぎる世界。


白い雪が、頭を染めていった。









…

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