そのはち ページ9
「いやぁ司くんったらやるじゃないか。夢見ていたAさんからの名前呼びを達成し、しかもなんと連絡先までゲットしてしまうなんて!あぁ、羨ましいことこの上ないよ」
いつにも増して芝居がかった大げさな言い方をする類に、司はげんなりと顔をしかめた。だって、非常に名残惜しくもAと別れたあと、ずっと類がこの調子で絡んでくるのだ。
「類…お前、面白がっているだけだろう」
ムッと睨まれた類は、とんでもないと首を振った。
「そんなことはないさ。僕はただ大事な友人の甘酸っぱい恋における大きな進展を喜んでいるだけだとも!」
いや、やはりコイツは面白がっているだけだな。
司は勝手に結論を出したが、実際そんなところなのであながち間違ってはいないだろう。なお、司は自分の恋が賭けの対象になっている事実を永久に知らないままであることをここに明記しておく。
「うんうん!あたしも司くんとAさん、すーっごくお似合いのカップルだと思うよ!Aさん、司くんにほわわ〜って優しい目してたから!たい焼きとあんこぐらいお似合い!」
そこに続けたのはえむ。擬音語を使いつつ、きらきらと輝く瞳で熱弁をした。
ちなみに彼女は自分の友人同士が仲良しだと嬉しいタイプの人間である。例としてたい焼きとあんこが出てきたのは、今さっきまでたい焼きを食べていた影響だと思われる。
(たい焼きとあんこぐらいって、結局どれくらい似合うと言っているんだ…?)
司は困惑したが、呆れ半分の寧々が口を開いた。
「ま、さっさとしないと他の人に取られちゃうかもしれないけどね。あの人、モテるだろうし」
「そうだね。Aさんともあろう素敵な人なら、老若男女問わずモテるだろうねぇ。それこそ司くんが心の準備をしている間に、僕たちが知らないどこかの誰かとくっついてしまうかもしれない」
「そ、そんな…!?」
司の背後に雷が落ちた。そんな可能性は露ほども考えていなかったのだ。最悪を想定した司は戦慄する。
だが2人の言う通り、事実Aはモテる。主に女子に対してめちゃくちゃにモテる。それを理由として、男子側で合コンに参加した経験がある程度には非常にモテるのだ。
「ほらさっさと連絡しなさいよ、Aさんが他の誰かとデートしてる現場を目撃したくないならね」
「う"っ…」
言葉にならない声を発して、司は顔をしわくちゃにさせた。一体どこの電気ネズミなんだ…
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レイ - 文才ありすぎる…更新…まってます… (2022年4月28日 22時) (レス) @page12 id: af0b4e0d47 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの - りつ@鉛筆 #アダマリLOVEさん» このネタ通じるかなァ〜??と思いながら書いていましたので笑っていただけて嬉しいです(笑)これが本当に運命なのかは神の味噌汁… (2021年8月16日 22時) (レス) id: 79598a89ca (このIDを非表示/違反報告)
りつ@鉛筆 #アダマリLOVE(プロフ) - 神の味噌汁好きです…w私の好きなゲームの曲で神のみぞ知るの所が神の味噌汁にしか聞こえない現象があるので謎の運命感じました笑更新頑張ってください! (2021年8月16日 18時) (レス) id: 938fdc03ed (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの - いちごぱんけーき。さん» ひえー!遅レスに加えて更新止まってて申し訳ありゃーせん!これから更新再開しますよー!! (2021年8月12日 20時) (レス) id: 79598a89ca (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱんけーき。(プロフ) - あっあっ…かっこいいおねいさんとかわいい司くん好きです…………更新楽しみにしてます…!!!!!! (2021年5月18日 20時) (レス) id: 889d4ea6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃーの@ワンダショ推し | 作成日時:2021年3月26日 21時