そのいち ページ2
とある日のフェニックスワンダーランド、ワンダーステージにて。本日は雲ひとつ見当たらない快晴である。ちちち、と飛び交うスズメの群れがその上を横切っていく。
そんな中、やや興奮している様子のえむが、ぱたぱたと大きく両手を振りながら司を急かしている光景があった。
その隣にはいかにも呆れた表情をした寧々も。
「司くーん!司くんにすーっごく美人でめちゃくちゃかっこいいお客さんが来てるよーっ!?早く早くー!」
「…えむ、はしゃぎすぎでしょ」
「おい うるさいぞ えむ!今、俺が全力でそっちに向かっているのが見えないのか、お前には!」
司はえむの言葉に怒鳴り声で返す。何が悲しくて急いでいるときに急げと言われなくてはいけないのだろうか。
ただでさえ、今さっきまで小道具の確認をしていたのに!
司はあまりの理不尽に憤慨するが、未来のスターたる者はどんなときでも寛容に落ち着いて対応せねばならないので、すぐに気持ちを落ち着けることができた。
しかし、それにしても。
「…まだ開演前だと言うのに、一体誰が……?」
そんな声に気付いて顔を上げた類は、その客人の姿を目に入れるなり目を細めて口角を上げた。
「…おやおや」
類がありありと喜色が滲む声を漏らしたとほぼ同時に、司もその人物をはっきりと視界に収めた。
「やー!久しぶりだな天馬、神代!」
そこにいたのは、にぱーっという効果音が似合う笑顔を浮かべる、司が会いたくてしょうがなかったその人。
さらりと揺れた若葉色のセミロングも、光を絶やさぬ蜂蜜色の瞳も、日光が苦手だからといつも被っていたスポーツキャップまで、何もかも変わっていない姿で。
その桜木Aという人間は、手土産に持参した老舗和菓子店のロゴが入った紙袋を顔の横に掲げて言った。
「会いに来ちゃった☆」
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レイ - 文才ありすぎる…更新…まってます… (2022年4月28日 22時) (レス) @page12 id: af0b4e0d47 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの - りつ@鉛筆 #アダマリLOVEさん» このネタ通じるかなァ〜??と思いながら書いていましたので笑っていただけて嬉しいです(笑)これが本当に運命なのかは神の味噌汁… (2021年8月16日 22時) (レス) id: 79598a89ca (このIDを非表示/違反報告)
りつ@鉛筆 #アダマリLOVE(プロフ) - 神の味噌汁好きです…w私の好きなゲームの曲で神のみぞ知るの所が神の味噌汁にしか聞こえない現象があるので謎の運命感じました笑更新頑張ってください! (2021年8月16日 18時) (レス) id: 938fdc03ed (このIDを非表示/違反報告)
にゃーの - いちごぱんけーき。さん» ひえー!遅レスに加えて更新止まってて申し訳ありゃーせん!これから更新再開しますよー!! (2021年8月12日 20時) (レス) id: 79598a89ca (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱんけーき。(プロフ) - あっあっ…かっこいいおねいさんとかわいい司くん好きです…………更新楽しみにしてます…!!!!!! (2021年5月18日 20時) (レス) id: 889d4ea6fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃーの@ワンダショ推し | 作成日時:2021年3月26日 21時