第三十三話「新たなる刺客」 ページ34
『猟犬』プライベート巻き込まれ事件から早四日が経ってしまった。時間という物は冷酷らしい。どんなに酷い記憶や嬉しい記憶も「過去だから。」と一掃されてしまう。
そう、確かに今回の戦犯は条野さんである。彼と関わり過ぎた所為で私は人質の様な存在になり標的に狙われてしまうというとばっちりを受けてしまった。
だが今回多分少し嬉しい事もあった。なんとあの後私と条野さんは正式な『友達』となったのである。今までの関係は一体何だったのだろうかと言いたくなったりはしたが、実は私。何を隠そう。生まれて初めての友人である。
今迄の私は「友人なぞ要らない。」と一蹴りして目付きを悪くし孤高の存在を歩もうとした。が、私は条野さんと関わって変わったのである。面倒だと思っていた人間関係、コミュニケーションも少しだけだが大丈夫と思い始めてきた。
最近ではコンビニ店員の顔を見て会計をするし、大学では話しかけてきた人間を罵倒すること無く要件だけを聞き最後にお礼をする位にまで成長したのである。偉いわ私。
だけれど、急な成長はデメリットもある事を私は忘れないわ。今まで他人と話さなかった分、疲れがどっと出てきて帰って今迄より少し目付きが悪くなっているらしい。
「大丈夫かい?中本さん。」
現在私は行きつけの喫茶店のカウンター席でゆっくりといつもの様にマスターの珈琲を嗜んでいた。
「…大丈夫よ、疲れているだけ。」
「鏡見ているかい?この顔を見給え。」
手鏡を渡され、私の顔をよく見る。私の顔はなんとやつれていて目の下には濃ゆい隈が溜まっていたのである。だから今日周囲の人間は私から目を背けて影で「不穏の雪女。」と言っていたのね。
「別に、気にしないわよ。」
「年頃の女の子がこんな顔で気にしない訳ないでしょう。」
するとそこで、喫茶店の扉の鈴が軽快に鳴る。マスターは「いらっしゃいませ。」と客に挨拶する。
「お一人ですか?」
「あ、ええと、はい。」
鈍臭い返事が帰ってくる。その客は私と近い席へ座り、カフェラテを注文するのである。その客は肩に掛けていた鞄から大量の勉強道具を出し、「ようし、頑張るぞ!」と気合いの入った独り言を吐き出すのである。
どんな奴が来たのか、私はその客に目線を向ける。
前髪が揃っていない白髪の独特な髪型。「なんだその服のセンスは。」と言いたくなる様な白と黒のつまらない服。
私に気が付き、一礼する彼に私は、少し興味が湧いたのである。
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肉塊(プロフ) - 冬斗さん» わーいありがとうございます〜もっと頭悪い小説にするので何卒〜 (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - そう言っていただいて嬉しいです…!作品いつも楽しく読ませて貰ってます! (2022年7月28日 10時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 冬斗さん» いや草。誤字の指摘、ありがとうございます。あと自信を持って下さい。何回も謝る様な事貴方様言ってませんよ( 'ч' ) (2022年7月28日 10時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - なってしまいます。うぅ…文章が長くなってしまいすいません…失礼しました… (2022年7月28日 9時) (レス) id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
冬斗(プロフ) - すいません…自分なんかが初コメでおこがましいと思いますが、第四十七話の「再会」の最後の方で『あの時は彼が』の後が『鮭の飲み過ぎ』になっていました。恐らく『酒の飲み過ぎ』だと思います。このままでは夢主の中で、条野さんがしゃけを飲んで酔う人に (2022年7月28日 9時) (レス) @page49 id: 2506e918c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2021年9月24日 3時