88.寂しかった ページ38
首筋をペロッと舐めあげると彼女の体が小さく震えた。人間の肉って甘いんだな…それとも彼女だからか？
「やっ…やめて…」
「やめられるわけないだろ…」
そっと耳元で呟いてから首にキスしようとした時、耳元で彼女の声が響いた。
「クロ！！やめてって言ってるでしょ！！」
「っ！？」
完全に嫌がられている声。
首元から離れて彼女の顔を見ると真っ赤な顔をして泣きそうになっていた。
「何よ…ヨウちゃんにはあんなこと言っといて…結局体目的なんじゃない…」
彼女の瞳に涙が溜まりついにポロポロと泣き始めた。
「わ、悪りぃ…でも違ぇよ…」
「嘘よ…私はクロのこと…本気で好きなのに…」
「俺だって…本気でお前が好きなんだ…」
嫌われたか？呆れられたか？
嫌だ…俺はお前といたい…。
「A…」
俺は彼女の首に顔を埋めて首筋に擦り寄った。
「A…」
「クロ…？」
彼女の背中に腕を滑り込ましてギュッと抱きしめた。
「頼むから…俺から離れないでくれ…。また…一人になんてしないでくれ…」
「クロ…？」
これ誰かに言ったことがある…そうだ、母上だ。
昔…母上に…。
「クロ…」
俺の頭に彼女の小さな手が乗って優しく撫でてくれた。
「大丈夫。私がいるからね…」
あぁ…そうか…。
俺はずっと…寂しかったんだ…。
兄妹達を慰めている時もずっと…俺も誰かにこうして欲しかったんだ…。
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作者名：星歌 | 作成日時：2017年4月30日 10時
