【ヘタリア】猫と眉毛

28話 ページ30

「自己紹介をしよう。」

そう言ったのは男の子。
話題を変えるならそれでもいいかもしれない。

多分、男の子自身も話題を変えたかっただけだろう。


「どっちからするの。」


「もちろん、俺からするんだぞ。」


さっきとは違って楽しそうな男の子。
その様子になんだかすこしほっとする。

やっぱり男の子は素顔で笑っている方が似合っている。


「俺はアルフレッド・F・ジョーンズ。アルフレッドとでも呼んでくれ。
力は強い方だと思うし、食い意地も強い方だと思う。」

アルフレッドが言う。

何故か自信満々に言う彼の姿は微笑ましくって私も嬉しくなる。


「さぁ、次はAだぞ。」

「うん。」

なんだかすこし緊張する。
自己紹介なんて生まれて初めてだ。


「えっと、私はA・クレイグ。
好きな食べ物は魚でゴロゴロするのが好き。」

簡単な自己紹介。
可もなく不可もなくって感じ。

名前は適当だけど、他は本当だ。


「なにそれ、猫みたいなんだぞ。」

そう言って笑うアルフレッドに私は曖昧な返事をする。

確かにそうだけど、私にとっては笑い事ではない。冬だというのに冷や汗をかいてしまう。
アルフレッドはぱっとしない私の反応に気づいてか、話題を変えた。

話がまったく耳に入ってこない。
猫みたい、と言われて心臓がバクバクいっている。


「A、大丈夫かい。」


「う、うん。大丈夫。」



私はもう、猫っぽい言動はやめようと密かに誓った。

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