【ヘタリア】猫と眉毛

23話 ページ25

自分の部屋だとまだ実感の湧かない部屋のドアを勢いよく閉め、そのまま崩れるようにベットに倒れこむ。

「何してんだろ、私。」


さえない私の声と私の鼻をすする音が静かな部屋に溶け込んでいく。


よく考えてみたら私が勝手に腹を立てているんじゃないか。
折角、男の子が心配して声をかけてくれたのに。

だけど謝ることは何故だかできない。
気まずいからかそれとも私が意気地ないからか。

いや違う、私が心の何処かで男の子が私の部屋まで来てくれるのではないかと思っているからだ。


「本当は私が、男の子の部屋まで行かなきゃいけないのに。」

そう思うだけではダメなことはわかっている。
だけど、明日でいいやと甘ったるい私の考えが私を取り込んでいく。


「あんた、あいつの部屋に行かなくていいのかい。」


「あ、キャリーさん。」


涙を服で拭い、ベットから立ち上がる。
頭がいっぱいでそこにいたなんて気がつかなかった。


「あいつも、あんたが部屋からでてたあと、すごく寂しそうな顔してたわよ。」


「え、そんな。」

驚いた。
男の子が寂しそうな顔をしてたなんて。

苦しいのは自分だけだと思ってた。
そんな自分を今はすごく甚だしく感じる。


「ごめんなさい、私なにも知らなくて。」


罪悪感で涙がとまらない。
床に小さな水溜りができている。


「私に謝るのはちょっと違うんじゃない。
謝るんだったらあいつのところに行くっていうのが筋だと思うわよ。」


「はい。」

涙で震えた声。

キャリーさんは、そんな私をなぐさめるように頭を撫でる。
でも、やっぱり涙はとまらなかった。

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