ヒトの居ぬ間に洗濯3 ページ10
「……んぁ」
がくん、と弟者さんの首が船を漕ぐ。
その隣では同じように兄者さんが眠たそうに欠伸をしていた。
「眠たいんですか？」
コーヒーを出してからしばらくすると、先生はなにやら持ち込んできた道具類をいじくり回しはじめた。それとは正反対に暇そうな実働担当のお二人は手持ち無沙汰にうとうとしている。
「あ…ごめん、昨日徹夜でさ。ちょっとぼーっとしてた」
弟者さんが申し訳なさそうに、ぺちぺちと自分の顔を両手で叩く。
「大丈夫ですよ、寝てても！来たらわかりますもん、そしたら起こしますから」
「それは駄目。俺たちは言ってみれば専門家みたいなものだけど、Aは普通の女の子だからそんな危ないことはおにーさんが許しません」
ぶに、と弟者さんの大きな手のひらが伸びてきて、ほほを挟まれた。
「ブッサイクな顔だなぁ」
サングラス越しに、兄者さんがくくくと笑った。
ちょっと、あなた人の顔見て笑うなってお母さんに習わなかったんですか
「まえあうはいうえふか！」
「えっなんて？」
「むがーっ！」
むにむにと頬をマッサージするように弟者さんに遊ばれて唸った。
「やめてくらはいー！」
「あは、可愛い」
一向に離してくれそうにないので、仕方なくそのまま放置する。
「………」
ふと視線をあげると、弟者さんと目線がかち合った。
「な、なんれふか」
「………いや、A可愛いなぁと思って」
「ハムスター的扱いなのね」
視線をあげずに笑いを含んだ声音で先生が呟く。
そこ、笑ってないで助けてくれてもいいと思うんですけど。
「そうそう、俺小動物結構好きなんだよ」
弟者さんは、もにもにとほっぺをつまみながら続ける。
「だからちょっと俺を癒してくれない？｣
「はい？」
おもむろに二人がけソファから立ち上がった弟者さんは、反対側の床に先生と並んで座ったわたしの所までやってくる。
わたしメディックじゃないのよ？
「よいしょー」
気の抜けるような掛け声とともに、ふわりと体が中に浮く
「んがっ」
「これでよし」
「これでよしじゃねえよ、何してんだお前」
呆れたように兄者さんが突っ込みながら、グラスを煽る。
「疲れてるんだって、小さいものが必要なんだよ…猫とか」
どうやら愛猫家らしい弟者さんは、わたしに猫の代わりを求めているらしい。ちょこんと胡座を組んだ上に座らされ、お腹のサイドから両手を回された。
……こんな展開予想できただろうか、いや予想できるわけないでしょ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 155人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
萩乃 - とってもおもしろかったです！続きが気になりますね！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年11月10日 14時) (
レス) id: 1860965fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸205(プロフ) - とっても面白かったです！2broだとマフィアや極道ものなどよく見ますが、vs.幽霊は斬新で続きが気になります(* ´ ▽ ` *) (2018年9月10日 17時) (レス) id: ce4c87fa35 (このIDを非表示/違反報告)
鑪ﾁｬｺ(プロフ) - 遠いアフリカの国〜、の表現がこの上なく好きです。参考にさせて頂きますm(_ _)m (2018年8月4日 3時) (レス) id: 10fcfc8c85 (このIDを非表示/違反報告)
工藤蛆虫(プロフ) - しーたけさん» ありがとうございます！！嬉しくなってしまったので更新頑張りますね！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: 3cc527ceec (このIDを非表示/違反報告)
しーたけ - 素晴らしい！めっちゃくちゃ面白くて見入っちゃいました！頑張ってください！！ (2018年7月28日 9時) (レス) id: 02fc5e93ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：工藤蛆虫 | 作成日時：2018年7月20日 16時
