ヒトの居ぬ間に洗濯2 ページ9
「狭苦しいところですがどうぞ……あ、何のみます？」
生首が訪れるのを待つ間せっかくだから先生たちをお家に招待した。
抜かりなく掃除も済んでいるから、どこに出しても恥ずかしくない大学生の一人部屋に見えるはずだ。
「おかまいなくー…意外とAちゃん、モノを置かない主義なんだね。ミニマリスト？」
「まさかぁ！家具の類を実家から送ってもらわなかったんで全部こっちで調達したんですよ。だから必然的に必要ないものが無くなって殺風景に見えるだけです…あ、ソファどうぞ」
一人暮らし用の部屋というのは大の大人が3人も入ってくることは想定されていない。
だから3人が3人とも突っ立っていられるととても威圧感があるのだ。わたしはソファを勧めて、キッチンへと足を運んだ。
「弟者さんと兄者さんは何飲みますー？」
グラスを出しながら叫べば、口々に「コーラ！」「コーヒー！」と帰ってくる。
うん、素直に言ってくれた方がありがたいよね。
「先生は…コーヒーでいいかな」
大した手間でもない。
パックを冷蔵庫から取り出してこぷこぷ注ぐだけだもん。
「〜♫」
「Aちゃんご機嫌だねえ」
「ストレスから開放されたんだからそんな気持ちになるのも分かるよ」
「ま、気は抜いてないって本人申告は一応あったし危なそうならおついちさんが下がらせといてくれ」
わたしのいないリビングでは、3人が作戦会議とも言えないような会話をダラダラと続けている。
白と茶色で統一されたモダンな部屋に、ダークスーツの３人はどこか不釣り合いに写った。
「分かってるよ。…あー、それとその兄者くん」
「あん？…………何だよ」
先生が何かを言い淀んだ。
そして口を兄者さんの耳元に近づけひそひそと何かをささやく。
「ま、ないとは思うんだけどね。一応」
「やな世の中だな…気をつけとく」
「なになに兄者！俺にも教えてよ！」
「めんどくさい」
「ひっでぇ！」
聞こえなかった。けれど、何か懸念することでもあるのだろうか。先生と兄者さんは浮かない顔をしているように見えた。
「お茶が〜入りましたよ〜」
そんな雰囲気を壊すべく、お盆にグラスを載せてリビングへ入った
「お茶って言ったけどお茶1個もないですね！んはは！」
がちゃがちゃ騒々しくテーブルにグラスを並べれば、それぞれが手をつけて口々にいただきますを呟く。
しばし穏やかな時間がわたし達のあいだを流れた。
生首がやってくるまで、あともう少し。
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萩乃 - とってもおもしろかったです！続きが気になりますね！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年11月10日 14時) (
レス) id: 1860965fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸205(プロフ) - とっても面白かったです！2broだとマフィアや極道ものなどよく見ますが、vs.幽霊は斬新で続きが気になります(* ´ ▽ ` *) (2018年9月10日 17時) (レス) id: ce4c87fa35 (このIDを非表示/違反報告)
鑪ﾁｬｺ(プロフ) - 遠いアフリカの国〜、の表現がこの上なく好きです。参考にさせて頂きますm(_ _)m (2018年8月4日 3時) (レス) id: 10fcfc8c85 (このIDを非表示/違反報告)
工藤蛆虫(プロフ) - しーたけさん» ありがとうございます！！嬉しくなってしまったので更新頑張りますね！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: 3cc527ceec (このIDを非表示/違反報告)
しーたけ - 素晴らしい！めっちゃくちゃ面白くて見入っちゃいました！頑張ってください！！ (2018年7月28日 9時) (レス) id: 02fc5e93ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：工藤蛆虫 | 作成日時：2018年7月20日 16時
