ヒトの居ぬ間に洗濯5 ページ12
「兄者ちょっとしつこいんじゃない？そういうのは嫌われるよ」
「お前こそ馴れ馴れしすぎだろ」
バチバチと散る火花に大量の嫌な汗が流れ落ち、助けを求めるべく先生へ視線を向けた。
「せんせぇ…」
「あはは、Aちゃんこっちおいで。大丈夫、今のそこ二人はお互い以外目に入ってないから」
そっと見上げれば、確かにわたしは眼中に入ってなさそうだった。
そそっと弟者さんの膝から抜け出して、こそこそおついち先生の隣に座りため息を付けば、先生がころころと笑う。
「兄弟にも随分気に入られちゃったみたいで、大変だねえ」
「気に入られ…？んと、それは嬉しいんですけど、あの距離の近さいったいなんなんですか？ちょっと心臓に悪いんですけど…」
「あそこ海外育ちだからね、気に入った人との距離がちょっと近いんだよ」
手元で何やらいじくり回しながら先生が言う。
「…先生は、距離感近くないんですね｣
「僕？」
「あ、いえ！別に何でも」
「近くてもいいの？……俺はあそこの兄弟みたいに生ぬるくないからね、大人が狡い生き物だってこと、分からされるハメになると思うよ」
するりと、彼の手のひらが呆けたわたしの腰を撫でた。
電流でも走ったかのように腰がはねて、思わず、先生から距離をとる。
「ね？僕はこういう距離感の方があってるんだよ」
飛び跳ねたわたしを横目で見て、先生はくつくつと楽しそうに笑った。
「もう！からかわないでください！」
「ごめんごめん、反応が初心だから面白くてついね」
そうやって笑われると何も返せない。
なんだかんだ言って、今日が初対面のこの人にここまで心を許してしまうのはこの笑顔に心が惹かれているからなんだろう。
「つ、次やったら怒りますからね！…のみものお変わり入れてきますっ」
まだくんずほぐれつ人んちで兄弟喧嘩をしている兄者さんと弟者さん、それから優雅な手つきでグラスを差し出してきた先生の分を回収し、キッチンへと足を運んだ。
「……………問題なのは全然嫌じゃないってことなんだよなぁ」
弟者さんの強引な可愛がり方も、兄者さんの触れるか触れないかのフェザータッチも、先生の色気溢れる一撫でも嫌じゃないのだ。
嫌じゃないから強くは拒めない。
からかわれていると分かってなお、それを肯定してしまう自分の意思の弱さにげんなりした。
「ふう…」
背後から忍び寄る歪んだ感情にも気付かずに。
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萩乃 - とってもおもしろかったです！続きが気になりますね！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年11月10日 14時) (
レス) id: 1860965fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸205(プロフ) - とっても面白かったです！2broだとマフィアや極道ものなどよく見ますが、vs.幽霊は斬新で続きが気になります(* ´ ▽ ` *) (2018年9月10日 17時) (レス) id: ce4c87fa35 (このIDを非表示/違反報告)
鑪ﾁｬｺ(プロフ) - 遠いアフリカの国〜、の表現がこの上なく好きです。参考にさせて頂きますm(_ _)m (2018年8月4日 3時) (レス) id: 10fcfc8c85 (このIDを非表示/違反報告)
工藤蛆虫(プロフ) - しーたけさん» ありがとうございます！！嬉しくなってしまったので更新頑張りますね！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: 3cc527ceec (このIDを非表示/違反報告)
しーたけ - 素晴らしい！めっちゃくちゃ面白くて見入っちゃいました！頑張ってください！！ (2018年7月28日 9時) (レス) id: 02fc5e93ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：工藤蛆虫 | 作成日時：2018年7月20日 16時
