ヒトも歩けば霊にあたる2 ページ2
「──あの、すみません」
インターホンへ、声をかけた。
耳を澄ますと、扉の向こうで誰かが動いてるいるのうな音が聞こえる。
とりあえずほっとした。誰もいないってわけじゃないんだ。
バタバタと足音が次第に近づいてきて、程なく扉が開け放たれる。
「はーい、ごめんなさいね待たせちゃって……って、あらお客さん？」
ひょっこり顔を覗かせたのは、緑髪を頭頂部近くでくくったダークスーツの男性だった。
首元にはネクタイの代わりに、ひらひらしたスカーフが巻かれている。お洒落だな、この人。
「…メロからの紹介だと言えば分かると言われてきました｣
緊張のせいか喉がカラカラになる。笑い出されたり怪訝な顔をされたらどうしようと、背中を嫌な汗が伝った。
「あぁ！君がメロやんの兄弟か！…話は聞いてるよ。さ、あがって」
彼はにこやかな笑みを浮かべると、背中でドアを支え気障な仕草でわたしを手招いた。
「ようこそ、2bro探偵事務所へ！」
玄関へ1歩進むと、味気のないビルの外装とは一転センスのいい内装に驚かされる。
クラシカルで品のいい家具が、ごちゃごちゃしない程度に配置されたオフィスはとても居心地が良さそうだった。
「………」
「さて、まずは自己紹介かな。僕はおついち。この事務所の諸々の雑用を担当してる……メロやんとは昔からの友達なんだ。君の話もよく聞かされたよ｣
兄バカってやつかな？と緑髪のヒト──おついちさんはそう言ってまた人好きのする笑みを浮かべた。
「えっと、Aと言います！メロ兄さんとは幼馴染で…家が近所だったからよく遊んでもらっていたんです。それで、あの」
鞄に突っ込んだ名刺をおずおずと差し出した。
メロ兄さんには、この名刺を見せて俺の名前を出せば分かるから、とそう言われたが故の行動だ。
「メロやんこれまで渡してたんだ…相当君のことが大事なんだね」
おついちさんは名刺を受け取って、それをポケットにしまう。
「これ、僕らが仲のいい人やお世話になったひとに配ってる名刺でね。これを持ってきてくれた人には、出来うる限り力になるって決めてるんだ」
だから安心していいよ、と。
彼はまた笑みを浮かべる。
その頼もしさに、そっと胸をなでおろしたわたしはまだ知らない。
これはまだ始まりにしかすぎなかったことを。
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萩乃 - とってもおもしろかったです！続きが気になりますね！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年11月10日 14時) (
レス) id: 1860965fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸205(プロフ) - とっても面白かったです！2broだとマフィアや極道ものなどよく見ますが、vs.幽霊は斬新で続きが気になります(* ´ ▽ ` *) (2018年9月10日 17時) (レス) id: ce4c87fa35 (このIDを非表示/違反報告)
鑪ﾁｬｺ(プロフ) - 遠いアフリカの国〜、の表現がこの上なく好きです。参考にさせて頂きますm(_ _)m (2018年8月4日 3時) (レス) id: 10fcfc8c85 (このIDを非表示/違反報告)
工藤蛆虫(プロフ) - しーたけさん» ありがとうございます！！嬉しくなってしまったので更新頑張りますね！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: 3cc527ceec (このIDを非表示/違反報告)
しーたけ - 素晴らしい！めっちゃくちゃ面白くて見入っちゃいました！頑張ってください！！ (2018年7月28日 9時) (レス) id: 02fc5e93ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：工藤蛆虫 | 作成日時：2018年7月20日 16時
