ヒトも歩けば霊にあたる ページ1
小さな雑居ビルを目の前にして、わたしは小さくため息をついた。
ビルの前で呆然と立ち尽くすわたしが、握りしめている名刺にはシンプルな字体で「2bro探偵事務所」と印刷されている。
その下には幾分か小さなフォントで、この雑居ビルの住所、そしておそらくは事務所の電話番号だと思われる数桁の数字が並んでいた。
「ほんとにここであってんのかなぁ…」
電話は何度かけても繋がらなかった。最終手段として、住所のビルまでやってきたけれど看板のひとつも見当たらない。不安はさらに膨らんでいく。
「ううん、ここまで来たんだからぐだぐだしてないでさっさと行こう！女は度胸だ！｣
ぺち、と両手で頬を叩き、背負った鞄に名刺をねじ込み、一歩大きく踏み出した。
三階建ての小さなこのビルは、一階が空きテナントでおそらく二階か三階に事務所があるらしい。
こつこつ、と足音を反響させるコンクリートを見下ろしてわたしは灰色の階段を登っていく。
二階。
表札はない。どこかのオフィスなのか、それともここも空いているのか、ドアの前からでは判断が出来なかった。
流石に玄関の前くらいには、看板かなにかがあってもいいはず。ここではないのだろうと、踵を返した。
三階。
これ以上上となると、屋上しかない。
ちらりと屋上へ続く階段を見やってから、三階のドアへと近づいた。
「…2bro探偵事務所！」
当たりだ。どうやらここが件の探偵事務所だったらしい。
流行る鼓動を抑えて、深呼吸をした。
震える指先で、チャイムを鳴らす。
「──あの、すみません」
わたしの受難はここから、始まったのだ。
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萩乃 - とってもおもしろかったです！続きが気になりますね！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年11月10日 14時) (
レス) id: 1860965fa3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸205(プロフ) - とっても面白かったです！2broだとマフィアや極道ものなどよく見ますが、vs.幽霊は斬新で続きが気になります(* ´ ▽ ` *) (2018年9月10日 17時) (レス) id: ce4c87fa35 (このIDを非表示/違反報告)
鑪ﾁｬｺ(プロフ) - 遠いアフリカの国〜、の表現がこの上なく好きです。参考にさせて頂きますm(_ _)m (2018年8月4日 3時) (レス) id: 10fcfc8c85 (このIDを非表示/違反報告)
工藤蛆虫(プロフ) - しーたけさん» ありがとうございます！！嬉しくなってしまったので更新頑張りますね！ (2018年7月29日 0時) (レス) id: 3cc527ceec (このIDを非表示/違反報告)
しーたけ - 素晴らしい！めっちゃくちゃ面白くて見入っちゃいました！頑張ってください！！ (2018年7月28日 9時) (レス) id: 02fc5e93ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：工藤蛆虫 | 作成日時：2018年7月20日 16時
