家族になりたい

__42 ページ43

広臣side




最近は、単独ツアーで忙しくて

剛典に、広を任せっきり


だからなのか、広が剛典にべったり


よく喋る？…いや、全然


よく泣くか？…まったく


喧嘩するか？…まったく


保育園での問題は？…少し






そろそろ夏が終わる頃

年長さんは、卒園に向けて

色々と制作に入るらしい




ただ広には問題があって

読み書きができない


皆、自分で自分の文字を書いてるけど

広君はどうしますか？

これは最初の電話だったと思う



それから、グループ活動に参加できないとか

言葉が出なくて、無口になってしまうとか



ある程度仲の良い子はいるけど

生憎グループは別れてしまっていて

それに、言葉が出ない事には

友達とも喋れない





そんな電話が立て続けにあった頃から

広は剛典の部屋に閉じこもってる

もちろん、剛典と一緒にな。




最初は、嫉妬してたよ

広に剛典を取られて

剛典に広を取られたからな




だけど、最近は他にも心配な事がある






ﾄﾞﾝｯ！





ほらまただ…





ｺﾝｺﾝ





「剛典、何かデカい音聞こえたけど

大丈夫か？」






剛「あ、ごめん…大丈夫だよ。ね？広」







広「ん…」




「部屋で何してるの？

俺せっかくの休みだし、リビングおいでよ」





剛「あぁ、ちょっと勉強！

もう少ししたら行くから

お昼ご飯お願い！」






「ん、わかった」





ただの勉強…なのに部屋に籠る意味は何？







俺は買い物に出かけて、ご飯を作って

2人を呼び出した





リビングに来た剛典は、何だか不自然で

広は、元気がない





「どうした、2人して」





剛「いや、朝からやってたから

疲れたなと思って。ね？広」






広「…ｺｸｯ」





肌寒くなってきてロンTを着ている広

腕をぎゅっと握ってる







「痒い？痛い？」





広「…ﾌﾙﾌﾙ」






剛「鉛筆持ってたから、疲れちゃったかな」






何か、違和感を感じる…何だ？






「広、あとで一緒に買い物行くか？」





広「ﾌﾙﾌﾙ」





「何でだよ笑…一緒に夕飯の材料

買いに行こう」






広「いか…ない」





「…」






剛「広、手」






広「…はい」





わかった、2人の距離感がおかしいんだ






「あ、そういえば入りが早くなって

明日から地方行かなきゃなんだ…」







剛「明日…次いつ帰ってくるんだっけ？」






「んっとぉ…明日月曜日だから

土曜日には帰ってくると思う」







剛「そっか…わかった」

__43→←__41

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す