【d!】婚約破棄するなら小指を寄越せ

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怖がられることは分かってるんだろう
だから、隠されていたんだろう

まず…


「私、親がコネシマさんの顔見た結果付き合っとけって結論出して半分くらい押し付けて来た結果であそこに居たんです」

ゾム
「ならシッマのこと好きってわけやなくて
親のために婚約してたんか」



まぁ…そうなる

最終的な決断は私に任されたけれど
ワクワクする親の顔を前に断ることも気がひけるし…

最初出会った時はどうして突然と思ったけど
それ以前に、慣れない手つきながらに
事あるごとに優しく接してくれるものだから

多少、親のためって気持ちでも
安心できるかなと思っていたのだ



「反社でしたけど」

ゾム
「で、逃げて反社に匿ってもらってんねんな」

「………私自由になれますか…？」


ずっとここにいるわけにもいかない
財布とか諸々を置いてきた今
どうにかしなきゃいけないことも沢山あるし…

面と向き合って話すべきなら
頭を撃ち抜かれたくはないと嘆きながら向き合う覚悟だし…？


え、


「あの、ゾムさん…？」

ゾム
「今日な、シッマに会ったわ
その後聞いた話やとアイツ不眠起こして
挙句の果てに味覚ぶっ飛んでるらしい」


ゾムさんに手首を掴まれて、向かう先は…
あの非常用に用意されている、地下室



「ゾム、さん…！」


一度引き止めるつもりで掴まれた手首を腕ごと引こうとして
さらに強い力に引かれ、一瞬肩が外れそうにすら思えた



ゾム
「最初は、ほんまに…お前が居ないってなった時のシッマがどうなってまうか確認して
今後俺らがそこにどう接するべきか、どう守ってやるべきかも考えるためやった
助けるって名目の確認と利用と好奇心やってんけど」



無理矢理抱き上げられて
そのまま地下室へと降りる

暴れようとしても無駄で、壁を蹴ったところで無意味



ゾム
「途中からほんまに、羨ましくなってもうて」



見えた地下室は前よりずっと『好み』だった

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