命をかけて、好きな人を救おうと思います。【煉獄杏寿郎】

救いたい。7 ページ9

【Aside】






煉獄さんと歩く帰り道は、漆黒の夜空でも、ただひたすらに輝いて見えた。




今この夜に鬼が活動しているなんて思えないほどに、平和でゆったりとしている。







肩が触れそうな距離で隣に並んでいて、緊張するし恥ずかしい。









A((まぁ、でも……。))









ちらり、と横を少し見れば、いつもと変わらない煉獄さん。









A((これは意識した方が負けだと思う。))








だから、まだ着いてほしくないな、と淡く思うことにしている。







.









A((それにしても、なんで一緒に帰ろうなんて言ってくれたんだろう……？))



ずっと考え続けていた疑問。


なぜ？ とか どうして？が頭の中をぐるぐるとまわっている。







聞いてもいいだろうか、と考えていると。








煉獄「……A。」





A「？はい？」








私の名前を呼んだ。

夜に似合う、落ち着いた声で。








煉獄「……何かあれば、俺が君を護る。」









────文字通りに、目をパチクリとさせてしまった。









……まさかあなたに、“護る”と言われるとは思わなくて。









煉獄さん。




その言葉は本当に嬉しいけれど






私は“護られる”ではなくて。









A「……私が、煉獄さんを護りますよ。」









私が、“護る”んです。









普通の護られる女の子(未来なんて知らない女の子)ではなくて、ごめんなさい。



あなただけはいつも笑っていてください。(私が命をかけてこの世から消さないから。)






私は精一杯、煉獄さんへ微笑んだ。



煉獄さんの思い出に残るような綺麗な微笑みでありますように、

と月に祈った。







.

救いたい。8→←救いたい。6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す