命をかけて、好きな人を救おうと思います。【煉獄杏寿郎】

救いたい。10 ページ12

【Aside】






───蝶屋敷。










胡蝶「咳の“緩和策”、ですか？」


A「うん。」







“薬は全て効かない”と知ったあの日。


薬はダメでも、少しでも楽になる“緩和策”を知りたいと蝶屋敷へ訪れた。









胡蝶「薬ではなくていいのですか？」



A「……うん。咳ならすぐ治るだろうし。」






……言われると思った質問。いや、普通は聞くよね、薬がいらないなんて。


普通の声で普通の顔でいれてるかな。

どうか嘘とバレていませんように。







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ホントの事だとしても、突然

“私薬が全て効かない体質になった”

なんて言えない。絶対無理。




その理由が好きな人(煉獄さん)の為とか、煉獄さんを助けるため(命を削ってる)とか。








信じてくれないだろうから、っていう理由で伝えないんじゃない。


私が、好きな人(煉獄さん)を助けたいだけ。

私の願い(わがまま)で命を削っても護りたいだけ。


私がこの薬を無事に使えた時、
私がいなくなったとしても、誰も悲しませないため。







この薬は、きっと誰も分かりやしない。

命を使う薬なんて、簡単に見破られたりしない。
非現実的だから。


何か体が急変して、
そう思ってくれると思う。



私に対しての悲しみの記憶も心の傷もないままで、そのまま皆らしく生きてほしい。






A((……誰よりも知ってるから。残された側の気持ちを。))







＿＿＿だから、誰にも言わない。そう決意した。









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胡蝶「まぁ、そうですね。甘く見てはいけませんけど……。緩和策、お教えします。」



A「ほんと？ありがとう！｣





一応この場は切り抜けて、しのぶさんに緩和策をいくつか教えてもらった。








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しのぶさんの緩和策のおかげで、


驚くほど咳が少なくも楽にもなり、

任務も訓練も前よりやりやすくなった。





前より動けて、咳が出にくくなって、嬉しかった。









出来なかった時のストレスを発散するように、己の強さを極める鍛錬をした。








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……だから、忘れてたの。





寿命を削ってるってことは






免疫力も体力も限界も







前と同じであるわけが無いことを。









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