顔を隠した素顔とは＿＿【宮近海斗】 (ページ41)

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一条Asaid

…まさか、見られてたなんて思ってもみなかった。

……よく考えれば事務所に近いかも、

しかも、テラス席だし…。

これから蓮くんに言って場所変えてもらおうかな、

”ガチャ”

九条「おかえり。」

「…わざわざありがと、

ほんとにいいのに、」

”パタン、”

一応、事務所から一本道がそれたところ。

路地裏には目立つ、白の外車が止まっている。

わざわざ車から降りて、私のためだけに

エスコートしてドアの開閉をしてくれる。

九条「いいのいいの、俺がしたくてしてんだし。

それに、こんな暗い中Aちゃん一人にして

なんかあったらと思うと不安だから。

俺ができるときは送り迎えしてあげたいからさ。」

「…すいません、」

九条「こーら、そういう時はありがとう、でしょ」

人差し指を唇に当てられる。

思ったけど、蓮くんって意外とパーソナルスペース狭いのかも…

「…ありがと。」

九条「いーえ。

さあ、帰ろっか、おばさんがご飯用意してくれてるって言ってたし。」

「あ、うん、そうだね、」

ママの、手料理かはわかんない。

小さい頃から両親ともに家にいなかったから、

家政婦さんのご飯なのか、ママのご飯なのか、見分けがつかない。

家政婦さんなんて、泊りじゃなくて

日替わりの時もあったから、余計。