宮近海斗の妹は__５ (ページ11)

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元気よくこちらに手を振るさっくんと翔太くんを後ろに、

樹くんと事務所のビルを出る。

”バンッ”

樹くんの運転する車はいつ見てもカッコいい。

たまに乗せてもらうけど、中もおしゃれだ。

田中「……なんか、あった？」

「んーん？なんにもないよ？？」

田中「…じゃあ、どうしてそんな痩せて、」

「だから言ったじゃん(笑)

今、絞ってるんだって。」

田中「……兄貴にも、そうしてんのか。」

「お兄ちゃん？？お兄ちゃんがなに？」

田中「……別に、バカな振りするのはいいけど、

お前どうしたんだよまじで。」

「なんにも変わりないよ、気にしないで(笑)

なに、デブ専なの？樹くん。

だから私の減量に反対？？(笑)」

田中「そんな、」

「まあいーや！

今度の雑誌のどこかで言ってあげよーっと」

田中「………。

空元気過ぎんぞ、さすがに。」

「いやいや、いつものテンションだよ、

どうしたの樹くん。今日おかしいよ？」

田中「……おかしいのは、お前だよ…(ボソッ)」

ボソッと呟いた言葉は、残念ながら静かな社内の中では

私の耳にちゃんと届いた。

「…ごめん、やっぱ自分で帰る。」

”ガチャ”

田中「……いいから、乗ってけ。

なにも聞かねえから送らせろ。」

「……うん。」

あー、もう自分に自信がなくなる。

他人にすぐに変化を見破られ、気を使われ、心配される。

果たしてこれは１人前の人の行動なのだろうか。

田中「……どっかよってく？

海とか、夜景がきれいなとことか…」

「……海、行きたい。」

田中「ん。穴場連れてってやるよ。

兄貴に、連絡しときな。」

「……別に、わざわざ連絡しなくてもいいんだよ(笑)

どうせ女の人と会ってるんだから(笑)

もう、私がめんどくさくなって、どうでもよくなったんだよ。

だから仕事って私に嘘ついて、出かけるんだよ。」

はははっ、と乾いた笑い声しかでない。

私も…さすがにそこまで鈍くない。

仕事だと言って一人出かけている大半は女の人と会ってる。