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っ、やってきた、あの、シーン…。
一応、何回もキスをしているように見える角度の練習は、した…
抱き合うシーンは、まだ慣れてしまえば問題ない。
宮近「っ、ジュリエット!!」
勢いよく抱きあい、愛を確かめ合うシーン。
そして、この後キスするフリをするんだけど、
クイッ、
えっ、?
稽古の時よりも、愛おしそうに私を見つめ、
顎をクイと持ち上げる、ちゃかちゃん。
そんなこと、台本になかったのに、
宮近「っ、目、閉じて、(コソッ)」
驚きのあまり忘れてしまっていたことを思い出し、
慌てて目を閉じる。
男「っ、危ないっ、!!」
「えっ?」
”ガタンッ!!”
「キャッ、!」
大きな音がするとともに身体が地面に叩きつく、
チュッ、
えっ、!?
目を開けると私に覆いかぶさるちゃかちゃんと、
唇に当たる、ちゃかちゃんの、唇…
宮近「っ、ごめんっ、!」
慌てて退こうとするちゃかちゃんの後ろには、
舞台の照明やセットが落ちている、
宮近「っ、」
歪んだ表情をするちゃかちゃん。
「っ、まさか怪我、!」
宮近「っ、してないしてない!大丈夫!!
ただ、服が踏まれてて、どうも動けない、」
装飾の多いこの舞台衣装。
っ、この体制は、なんだか、ちょっと、///
宮近「っ、まじ焦った、セット落ちてくる瞬間見えて、」
男「っ、大丈夫ですか!!」
川島「ちゃか!!Aちゃん!!!」
宮近「こっちは大丈夫ー!
だけど、Aちゃんがかすり傷と、俺が衣装挟まって動けないー!」
舞台前方に落ちたせいで、
セットに囲まれて周りが見えない私達。
なにやらたくさんの人の声が聞こえて、
落ちたものを退かそうとしてくれているらしい。
「っ、私、かすり傷って?」
宮近「あ、ほら、足…
ちょっと血がでてる。」
私の身体を覆うように両手を床につき、
かなり近い距離で平然と言葉を話すちゃかちゃん。
宮近「あーもうクソ、なんでこうなんだよ…」
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作者名:不思議の国の姫乃 | 作成日時:2021年3月5日 22時