romance 32 ページ33
昼間に会社で見かけた時につけていた細い黒いネクタイはなくなっていて、ボタンが3つくらい開いている。
目も唇も真一文字に閉じられた勇太の顔。『寝ている』というよりは『閉じている』って感じ。シャットダウン。
その枕元にすとんと座り込んだ。
伸びてしまった前髪がまつ毛に引っかかっていたから、指先でそっと払った。
「・・・ひとりで抱え込んじゃってさ。話してくれなくてもいいから、もう少し甘えてよ。わたしと勇太の仲じゃない」
つん、とおでこを突いても微動だにしない。胸が上下していなければ死んでいるのかと見間違いそうなくらい。
そのとき、指の先で眉がくっと歪められた。
やば、起こしちゃったかな・・・?
「・・・んで・・・」
カサついた唇から漏れる掠れた声。
「ぉ・・・け・・・」
すう、と大きく息を吐いた勇太。
−−−なんで、俺だけ−−−
そう聞こえた。
何が?なんのことなの?勇太だけが、どうしたっていうのよ。
揺さぶり起こしたい衝動に駆られたけれど、代わりに両手をぐっと握りしめた。
苦しそうなその表情に胸が痛くなる。
「ねぇ、本当は何を考えてるの?」
まぶたは閉じられたままぴくりとも動かない。
「わたしには助けてあげられないのかな・・・」
ずっと、その寝顔から目が離せないでいた。
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レジーナ(プロフ) - どさんこさん» ありがとうございます(^ ^)少しでもお暇潰しになれば幸いです☆ (2020年5月15日 17時) (レス) id: f10a3ced08 (このIDを非表示/違反報告)
どさんこ(プロフ) - うわあ〜!!!!!!待ってました!ありがとうございます(^^) 私も最近は海人と神宮寺の爆イケ具合が上がってきてます!!これから楽しみに読ませて頂きますね(^^)またきます!頑張ってください。 (2020年5月15日 17時) (レス) id: 2b49440ff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レジーナ | 作成日時:2020年5月15日 13時