romance 22 ページ23
丸山さんを奥に押しやってタクシーに乗り込んだ主任が、窓を開けてすまなそうに首をすくめた。
「じゃあ、先に帰るね。おつかれさま」
「あ、はい、おつかれさまです」
丸山さんの介抱を手伝っていた男の子は、すぐに駅の方へと消えていった。
勇太と２人で寒空の下、ぽつねんと残される。空気がキンと冷たくて、アルコールで温まった体が急速に冷やされてぶるりと身震いした。
「タクシー乗ろうか」
何か考え込むように固まっていた勇太は、急に時間が動き出したように、目の前の路上で手を挙げた。
空車表示のタクシーが、すぐに目の前へと滑り込んでくる。
勇太は慣れた様子で行き先を告げると、大きく息をついてシートに沈み込んだ。
切れ長の目は閉じられている。ただ酔っ払っただけ、という感じはしなくて、なんだか心がザワザワして落ち着かない。
と、その頭がぐらりと傾ぎ、どすんと肩へと乗っけられた。
「勇太、大丈夫？」
「んー、ちょっと酔った。肩貸して」
腕を組んだまま俯いている勇太の前髪が、彼の表情を隠している。
何かを抱えている。
だけど、それを聞き出すことはしなかった。
話したくなれば、きっと勇太から相談してくる。
わたしは、彼の求めるまま、いつでも肩を貸してあげられる存在でいればいい。
でも。
もし、わたしが誰かと・・・例えばシゲくんと、結婚でもしたら？
勇太はどうなるんだろう。
勇太がちゃんと、支え合える相手を見つけてくれればいいんだけれど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レジーナ(プロフ) - どさんこさん» ありがとうございます(^ ^)少しでもお暇潰しになれば幸いです☆ (2020年5月15日 17時) (
レス) id: f10a3ced08 (このIDを非表示/違反報告)
どさんこ(プロフ) - うわあ〜！！！！！！待ってました！ありがとうございます(^^) 私も最近は海人と神宮寺の爆イケ具合が上がってきてます！！これから楽しみに読ませて頂きますね(^^)またきます！頑張ってください。 (2020年5月15日 17時) (レス) id: 2b49440ff5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レジーナ | 作成日時：2020年5月15日 13時
