MOON and SUN (ページ7)

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神宮寺side

廉が初めて笑った。

その顔は、玄樹より可愛くて、心臓がバクバク音を立てていた

岸｢ｸｽｸｽ……ねぇ神宮寺はどう思う？｣

玄樹が俺に急に降ってきて、

神｢……可愛いね｣

そう言って廉から視線をそらした

廉は気づいてないと思うけど、俺、廉と１回話したことあるんだよ

受験の日。消しゴムを忘れた俺に、こっそりと消しゴムを渡してくれて、テストが終わってから返しに行くと、｢気にせんで｣って言って微笑んでくれた。廉は忘れてるかもしれないけど、俺はあの日から廉が気になって気になって仕方ない

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

海｢ヤバっ。次の授業遅れたら、ガチめにやばい｣

紫｢なんで〜？｣

玄｢……はっ。次、鬼瓦だ……｣

鬼瓦って言うのは、数学の先生で、普段から怖ーい顔をしてるのに、授業に遅れたら、鬼みたいな顔になるから、そう呼ばれてる

海｢じゃあね〜｣

そう言って紫耀、海人、玄樹は慌てたように屋上から出ていった。

岸｢俺も体育だし、そろそろ行くわ｣

そう言って岸くんもさっさと弁当を片付けて、屋上から出ていき、俺と廉の二人っきりになった

しばらくの沈黙の中、廉がさっさと弁当を片付け始めた

なんか話さなきゃ。そう思えば思うほど、頭が真っ白になって、何も出てこなくなる

その間に廉は片付け終わってしまった。

なんも話せないまま、廉が屋上のドアに向かって歩き出した

“待って”

その言葉を伝えようとするけど、なかなか口から出てこない
どうにかひねり出そうとしてると、

廉｢なぁ｣

廉が俺の方をくるりと回って見た

廉｢久しぶりにこんなにも大勢でご飯を食べて、楽しかった。ありがとな｣

そう言って俺に笑いかけてきた廉。

俺の心臓はバクバクなって、血圧が急上昇してるくらいに、熱くなってきた

廉｢神？帰らんの？｣

神｢待って。今行く｣

目の前に広がっていた弁当箱を強引にしまって、廉のところへ行く。

夢みたいな気持ちだった

本当に夢だったら覚めて欲しくないくらいの夢。

俺はこっそり自分のほっぺをつまんで、クスリと笑った