ただ、なんとなく。【孤爪研磨】

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#kuro


小学生の、いつだったかな、



確か4年生ぐらいの時。



研磨が珍しく


「今日女子と喋った」


なんて、言った。




男子とさえ喋らない研磨が、女子と喋るなんてどうしてだろうと思って、どんな子だろうと気になった。




「…Aが急に話しかけてきた」




川本 A


なんとなく知っていた。




研磨と昔から同じクラスで、確か明るい女の子。




長い黒髪をポニーテールにして、よく男子とも遊んでるような印象。




いつも友達と笑いあっていて、研磨とは正反対。




ところが、今はどうだろう。




意志の強そうな瞳は気だるげ。


長かった黒髪は、薄い茶髪になって肩の辺りで揃えられていた。


耳にはピアスの穴が空けられて、シンプルな銀色のダイヤが覗いていた。


極め付きは、その喋り方。


明るく明瞭だった彼女からは、感情なんてないように思えた。



でも、最後に貼り付けた笑みの奥には、強い悲しみが感じられた。

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