ただ、なんとなく。【孤爪研磨】

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#Kenma

にやにや顔から一転、フッと真顔に戻った瞬間自嘲気味に笑ったA。



「…俺、今のAの笑顔きらい」



「…え？」



「…昔の方が良かった」



全てを諦めたような目。



必要のないことは口に出したくないと決意したような口。



もう元には戻りたくないと無言で圧をかける耳。



その全てが、時の流れを語っていた。



Aは変わってしまった。



良い方に、悪い方になんてものじゃない。



なにか、“ワルイモノ”に変えられてしまったのだ。



変わらねばと必死に努力した彼女の中に、静かに、ただ静かに、昔の彼女は横わたっている。



そんな彼女をただ見つめることしか出来ない自分が、


救うことの出来ない自分が、


「…クロが呼んでるから行くね」


もどかしくて、


「…うん」


嫌いだ。

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