ただ、なんとなく。【孤爪研磨】

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「…クロ」



「お、来てくれたか」



少しばかりの抵抗も虚しく、体育館まで引きずられてきた私。



「…俺、着替えてくるからAちゃんと見張っててよ」



「おー、わかったわかった」



ふらりと体育館を出る研磨。



「…黒尾先輩、なんで私誘ったんですか」



「え？朝言ったじゃん、なんとなくって、」



「あれ嘘ですよね。

私と全然関わりないのにあんなに言うなんておかしいし

それに。

黒尾先輩が“なんとなく”なんて言うなんてありえない。」


私じゃあるまいし。


そう最後に呟くと、黒尾先輩ははぁ、とため息をついてから、私の目を見た。


「まぁ朝言ったことも嘘ではないけど…」


黒尾先輩のニヤニヤした瞳の奥に、真剣な光が走ったように見えた。


「…研磨があんなに人に興味を持つの、初めてなんだよ」


「…は？」


前言撤回、この人はいつでもふざけてる。

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