#34 回想 ページ34
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「桃華…!」
教室を出て行った桃華に向けて手を伸ばす。
届くはずもない。
……違うの、待って桃華。
…追いかけなきゃ、桃華のこと。
そう思ったらいてもたってもいられなくて、私は桃華を追いかけるように走り出した。
り「!…A!」
教室の扉を乱暴に開けた。
乱暴に開けたから勿論すごい音がする。その突然の音に近くにいる人殆どが私の方を見た。
みんなと目が合う。
けど気にしない。
桃華…桃華、どこ?
昼休みということもあり、廊下は人で溢れかえっていた。
友達とふざけあったり話し合ったり。
少し近づくだけで腕や肩があたってしまう。
背が高い人もいるしどれだけ背伸びしても奥の方が見えない。
桃華がどこに行ったのかも分からない。
「桃華ー…!」
試しに名前を叫んでみるも、周りの人たちの声でかき消されてしまう。
今は無理かな……。
『今日一緒に帰れるかな?』
『放課後、門で待ってるね』
桃華にメッセージを送った。
見てくれるかは分からない。
頼む見てくれ、ともはや神頼み。
それにしても、
こんなにも丁寧な言葉似合わない人いるんだね。
前みたいにふざけあいたいな。
なんて、私が最初に桃華を無視したくせにね。
うるさいはずの廊下が、何故か静かに感じた。
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6限目が終わり、鞄を持って教室をでる。
前を見つつも携帯を弄りながら門に向かった。
友達から送られてきたまだ返信していないメッセージに返信する。
そしてふと、さっき送ったメッセージが気になって桃華とのトーク画面を開いた。
既読はついてる。
が、返信はない。
…今見たばっかなのかもしれない。
じゃあ今桃華から返信きたらすぐ既読つけちゃうじゃん。
え、めっちゃ返信まってるキモい奴って思われる!
いやめっちゃ返信まってるけども!!
そんな焦りから私はすぐにトーク画面を閉じた。
そうやって一人心の中で騒いでたらもう門についていて。
全然前見てなかったなーって少し反省。
『おー何してんの?』
「ん?あ、ユキ」
門にもたれかかって携帯を触ってると後ろから肩をポンと叩かれた。
振り返るとそれはユキで。
「人まってんのー」
ユ「え誰まってんの?」
「…秘密ー」
少し間を開けてそういうと、ユキは「えーなんかありそー」って笑う。
「いいからもう帰れ!」
しっしっ、と手を振る。
ユキは案外素直に帰っていった。
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作者名:メロンパンケーキ | 作成日時:2020年3月27日 19時