#30 回想 ページ30
．
翌日＿＿＿
昨日のことはよく覚えていない。
ただ、一人で家まで帰ったことだけ覚えている。
桃華を置いて、一人で。
桃華、きっと私のこと待ってたよね。
ごめん。でも、
桃華と顔を合わせたくなかったんだ。
きっと私はいつも通りに振る舞えない。
笑顔も消えて相槌しか出来ないと思う。
あんな事知ってから普通に話せる訳ないよ。
だからこれは仕方ないことなんだ。
そう自分に言い聞かせながら私は学校へ向かった。
勿論桃華はいない。
昨日LINEがきていたけど既読もつけず無視した。
電話も拒否した。
無視する時、桃華の顔が浮かんで少し心が痛かったけど。
し「あれ？Aやん」
パッと振り返るとてつやたちがいた。
びっくりした。
なんでこんな近くにいるのに気づかなかったんだろう。
…桃華のことで頭がいっぱいだったからかな。
「…おー、としみつ今日は遅刻しとらんやん」
と「いやいつもしてねえわ。」
て「……桃華は？」
思わず体がびくっと反応してしまった。
てつやが悲しそうな顔でこっちを見る。
一気にみんなの視線はてつやにうつった。
まさかてつやから聞かれるとは。
「…あーえっと…うん、」
言葉が出てこない。
何か言わなくては、とは思うんだけど。
て「…あの噂ほんとなん…？」
り「噂？」
「……多分、ほんとだと思う」
し「ねえまって、なんの話してんの？」
しばゆーが間に入って私たちの会話をとめる。
……しばゆーたちは噂知らないんだ。
「実は桃華……」
全てみんなに話した。
桃華はいじめっ子だったってこと、
昔万引きしていたこと。
私が話し終えたあとはみんな無言だった。
どこか一点を見つめていて放心状態。
私もそうだった。
信じられず言葉も出なくて、何も考えられなかった。
り「…ああ、だからか」
りょうくんがぼそ、と呟いた。
それは決して大きな声ではなかったけど、その場にいる全員の耳にその声が届いた。
ゆ「…なにが？」
り「いや、最近桃華一人でいることが多かったから」
そっか、りょうくんと桃華同じクラスだから。
いやまって、桃華一人でいることが多かったって…
またいじめられてるの？
し「ほんとに桃華いじめっ子だったの…？」
知らない。
わかんないよ。
私だって聞きたい。
……ねえ、私はどうすればいいの？
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作者名：メロンパンケーキ | 作成日時：2020年3月27日 19時
