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「なんで…?」
朱里ちゃんがいることに驚いている訳ではない。
元々今日朱里ちゃんはいると思っていたし。
彼女だけが一人、ここにいることに驚いている。
どういうこと?
てつやたちは?
そもそも約束の場所はここじゃないの?
分からない。
考えれば考えるほど分からなくなる。
朱「ごめんね、てつやたちじゃなくて」
目の前にいる彼女は、笑っている。
でも彼女の声は弱々しく小さかった。
朱「貴方と話しがしたいのは私なのよ」
中央に置いてある椅子に座っていた朱里ちゃんは、立ち上がりゆっくりと私の方まで歩いてきた。
私は疑問で頭が一杯でそれに反応する余裕すらない。
彼女がこちらに来るまで呆然とその様子を見ていた。
朱「脱退してくれてありがとう。ほんとに嬉しい。
……でもまだ駄目なの。
どんどんいなくなってく。あんたのアンチ。
あんたのアンチね?みんな口を揃えてこう言うの。
『まさか本当に辞めるとは。ごめんなさい。東海オンエ アに戻ってきて』って……。」
朱「アンチの奴らはみんな手の平返しやがった」
朱「……っは?」
朱「巫山戯るなよ」
「…っ!」
朱「なんでお前はいつもいつも……っ!!」
パリン
朱里ちゃんが手に持っていた携帯を床に投げつけた。
一回投げただけなのにもう携帯はボロボロで。
相当力を込めて投げたんだと思う。
そんなボロボロの携帯を朱里ちゃんは拾い、もう一度
パリン
地面に向けて思いきり投げつけた。
そしてそれを拾い、また投げる。
その繰り返しだった。
何もできない。
なんとかしなきゃ。
止められない。
朱里ちゃんを止めなきゃ。
私はどうすればいいの、?
今度は、近くにあった椅子を蹴り飛ばした。
椅子が飛んだ方向には運悪く社員さんいた。
でもお構いなしにまた蹴る。
すると当然社員さんに椅子が当たる訳で。
社員さんが顔を歪めたといのにまた椅子を蹴る。
「…ちょっと!」
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『やめなよ!』
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あれ?何この記憶。
なんで今思い出したんだ。
朱里ちゃんを止める言葉と、何かが一致した。
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………ああ、思い出した。
確かあれは、高校2年の夏______。
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作者名:メロンパンケーキ | 作成日時:2020年3月27日 19時