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翌日。
塾で奈子に紫耀と模試で勝負する話をすると、奈子は目を丸くして驚いた。
｢Aが勝つんじゃない？｣
｢え？｣
｢ほら紫耀くん勉強苦手らしいじゃん。
A勝っちゃうかもね｣
女子はコツコツ勉強する人多いけど、
男子は短期間で点数上げてくるから、もし紫耀もそうなれば勝てるかどうかはわからない。
｢でも思ったんだけど、勝っても負けても紫耀くんと必ず出かけられるってわけではなくない？｣
｢え！？どういうこと！？｣
｢何か奢るとは言ってたけど、もし紫耀くんが負けたとして、
紫耀くんがAが欲しいのものを学校行くついでに買ってきちゃったりしたら出かけられないんじゃない？
それに、一緒に出かけるとも言ってないし｣
その可能性をすっかり忘れていた。
最近は前より話すようになったし、連絡先も交換したから舞い上がって出かけられると思ってしまった。
よくよく考えてみれば、奢るとか言ってただけだ。
｢紫耀くんにLINEで聞いてみれば？｣
｢え？なんて？｣
｢一緒に出かけるってことなの？って｣
｢いやいやいやいや、私まだ連絡したことないし！｣
｢こういうのは、はっきりさせとこうよ！｣
ほら携帯出して、と言われて鞄から携帯を取り出す。
｢ど、どういう文で送れば、、、、｣
｢私に任せて｣
奈子は私から携帯を渡されると、ポチポチとなんの躊躇いもなく打っていく。
｢こんな感じで｣
奈子が見せてきた画面には、
負けた方が何か買ってくるのか、それとも一緒に出かけるのか、という内容の文が打たれていて、
まだ送信ボタンは押されていない。
｢これで送ってみなよ｣
奈子に携帯を渡され、自分でもう一度文を見直す。
そしてポチッと送信ボタンを押した。
これで出かける方じゃなかったらショックだな、と思いながらなんとなくアプリを閉じる。
そして授業が始まるチャイムが鳴り、携帯を机の下に収めた。
しばらくしてブブッと携帯が震える振動が机に伝わり、こっそり携帯を見る。
案の定、紫耀から返信が来ていて、
『俺一緒に出かけると思ってた笑
行こうよ』
というメッセージに犬のキャラクターが走っているスタンプも来ていて、
私は顔を緩まずにはいられなかった。
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作者名：琥珀 | 作成日時：2019年10月17日 23時
