7話【運も実力のうち】 ページ8
*奴村 清春視点*
俺は、自分を呪った。
もっと詳しく言うと自分のくじ運を呪ったのだ。
「おい雅春。お前のくじ交換させろ」
「嫌っすよ！ってかそれ清春が運ないからじゃないっすかー！」
このやろう……
くじでチーム分けをした結果、
チームA:戸田、青木、直人、俺
チームB:五十嵐先輩、雫芽先輩、雅春
という実に納得のいかない結果になってしまったのだ。
「なんでこんなことに……」
渡辺はもうネットの準備に取り掛かり、俺の話は耳にすら届いていないだろう。
他のメンバーも混じってワイワイとやっている。
「しょうがねぇ。雅春を俺の光で消滅させてやる……」
俺もその後に続くように、歩いた。
「はーい。じゃあ始めー。」
人数の問題で、マネージャーの純花が審判を務めることになった。
気だるげな感じだがまぁ……大丈夫だろう。
ボールは今五十嵐さんが持っている。
ちなみに俺と戸田が前、直人と青木が後ろだ。
数秒した後、五十嵐さんがボールを打つ。
それは真っ直ぐ勢いのまま、俺達のコートを狙って突き刺さろうとする。
止めるように動いたのは戸田だ。
両腕を真っ直ぐ伸ばしてギリギリのところでボールを上げる。
軌道を眺めてから直人が動く。
「清春、頼むよ。」
そう言って俺の名を呼ぶと、直人はトスを上げる。
弧を描くボールを見つめ、俺は飛んだ。
全力を右手に注ぐように力強く、狙いを定めてボールを打つ。
「あー、おしーい」
「チッ……」
そのボールは惜しくもラインを越えてアウトとなってしまった。
俺が狙った場所は雅春。その本人は……。
「うわー。ダサいっすね！」
へらへらと笑って俺を馬鹿にしている……。
が、直ぐに三年生にたしなめられていた。ざまあみろ。
「次は絶対に消し炭にしてやる……」
「なんか、すごい怖いんですけど。大丈夫ですか？」
「いつもこんなんだから、気にしないで。」
「は、はあ……」
声が聞こえないぐらいに、俺は勝つことで頭がいっぱいだった。
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