11話【練習終わって】 ページ12
*一宮 純花視点*
「「「ありがとうございました!」」」
全員の声が体育館に木霊する。
色々あって、やっと練習が終わった。
片付けも終わって一息ついたところで、
リュックを背負いながらゆっくりと体育館を見渡す。
コーチは笑いながら一年生に話しかけて困らせている。
顧問の丸山先生は、ぬいぐるみをまじまじと見つめている。
一方、2年のあの双子はギャーギャー喧嘩中。
3年生2人がなだめるも、全然収まる気配なし。
「中々のカオスね。」
もはやバレーボール部とはかけ離れた空間だ。
「純花も中々のカオスだと思うけどねー。」
さらっと言った直人を少しだけ睨む。
「なんで睨むのさ………怖すぎるんだけど。」
「私は必要性を感じてこうやってるの。」
あ、そうだ。と私はポケットからスマホを取り出した。
たたた、っと慣れた手つきで指を走らせる。
「誰に送るんすか?」
後ろから雅春に話しかけられた。
振り返ると、清美と睨み合いながら聞いてきたようだ。
「ん。……バレー部の人達。」
送るメールの文面はこうだ。
『狐ヶ丘高校マネージャーの一宮純花です。
こちらは新入生2人の入部が決定しました。
他の学校の皆さん方はどうですか?
至急連絡寄越してください。10分以内に返信がないと電話かけます。』
これを一斉送信するつもりなのだ。
「うわぁ……っていうか、これ先輩達にも送るんでしょ?」
「そ。アドレス知ってる全員にね。」
他の学校の部員の人たちと連絡がとれるのは、多分メリットがあると見越してのことだ。
部員とマネージャー。交換できそうな人に片っ端から頼んだのだ。
まぁあっちから熱心にアドレス聞いてきた人もいたからラッキーって感じ。
同じ学校のバレー部の人達にも全員送る。
それぞれ違ったコメントが来るのを見るのが楽しいからだ。
「ってことで送信、と。」
ボタンを押すと、バレー部の人達に一斉送信される。
「あとは、皆が帰るまでゆっくりメールの返信でも待ちますか。」
部員がギャーギャー騒ぐのを横目で見ながら、私はスマホを眺めていた。
「お、返信キタ。」
最初に送ってきたのは、音駒の主将、黒尾さんからだった。
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