検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:842 hit

1話【出会いと始まり】 ページ2

*戸田 昌俊視点*

窓をちらり、と眺める。
雲ひとつない快晴に優しく地を照らす太陽。
静けさを増していく外とは違い、ここは人の声に溢れていた。

耳をつんざくような声は、逃げ出してしまいたいほど騒々しかった。

「バスケ部入らなーい?」
「ソフトテニスもよろしくねー!」

午後、放課後の時間。
狸ヶ丘高校一階廊下は部活動の勧誘で賑わっている。
運動部、文化部関係なく声を張って呼びかける先輩方。
俺もたまに声をかけられるけど、目当ての部活ではなかった。

人混みに酔いながらも、目当ての部活動を探す。
部活目当てでこの高校に来たぐらいだ、絶対に見つけなければ。

「あっ……あった。」

弱い声が口から漏れる。
よかった……。本当、見つかってよかった。
嬉しさに、今までの疲れが全て吹き飛んだ気さえした。
俺の視線の先には、狸ヶ丘高校バレーボール部という文字。
文字を囲むように立つ幾人かの先輩方は、きっとバレーボール部の部員だ。

「すいません、バレーボール部ですよね?」
「うん。そうだよ。」

にっこりと笑って答えた人は、五十嵐さんというらしい。制服を見たらそうあった。
安堵しつつも、もう一度問う。

「俺、1年の戸田 昌俊です。入部希望したいのですが……。」

と言うと、周りの方もぱっと明るくなった。
でも、まだ一部俺を睨むように見る人がいる。

「本当!?じゃあこの入部届け、宜しくね。」

一枚の紙が手渡される。
筆記用具は持っているので、すぐに書き終わった。
紙を五十嵐さんに渡すと、部活時間まで待っててねと言われた。

「そういえば、マネージャーっていないんですか?」

確かにマネージャーがいると聞いたことがある。
他の部活では、二、三人のマネージャーが見られた。

「二年生の子が1人いるわよ。今はいないけどね。」

苦笑しながら答えたのは、雫芽さん。女性的な優しい口調だ。

「他の人たちと別の場所で勧誘してるはずっすね。」

先輩方の間からにょきっと顔を出したのは、奴村さん。
人懐っこい笑顔でどこか人に好かれる印象を持った。

「奴村清春君と、一宮ちゃん、それに渡辺君よね。」
「だ、大丈夫っすかね。」

奴村性がもう1人、ってことは兄弟なのかな?
あと、マネージャーの苗字は一宮さんらしい。

その後は特にすることもなかったので、そのまま時間を待つことにした。

2話【もう1つの出会いと始まり】→←プロローグ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:灰色キノコ&狂兎 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年11月25日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。