上手くいかない ページ16
・
康ちゃんが東京に行って半年、毎日会いたい会いたいと思っていたせいで、つい呑んだ勢いで「会いたい」なんてメッセージを送ってもうた。
それに気付いたんは既読がついたあとで、あちゃーと頭を抱えた。
そして翌日、康ちゃんは大阪に帰ってきた。
帰って来てくれた?
たまたま帰ってくる予定と重なったからかもしれんけど、それでもこのタイミングで「待っとけよ」と来てくれることに嬉しくて、トクトクと胸が疼きだす。
「家の中で待っとけばええのに」
店前で待ってたら康ちゃんがタクシーから降りてきた。
半年ぶりでも変わらない。
いや、ちょっと前髪伸びた?
「だってオカンら寝てるから」
「あ、もうそんな時間?」
「うん、もう23時回ってる」
「そうか。ちょっと公園行くか?」
「うん」
ゆっくりと足並み揃えて歩いて向かう公園は、お互いが子供の頃によく遊んでいた場所。
この辺りの子供はだいたい皆がそこに集まっていた。
「この鉄棒ってこんなに低かったっけ?」
「小さかったからねぇ、私らも」
懐かしいなって笑う顔は、幼い頃の康ちゃんと重なった。
公園のベンチに腰掛けて康ちゃんは「そんで」と、話を切り出した。
「なにがあったん? Aがあんなメッセージ送ってくるなんてなんかあるんやろ」
「あんなって……えっと、昨日の?」
それを聞くために帰ってきてくれたん?
じっと見つめていたら「なあ?」と急かされる。
「え、ああ。あれは……えっと、」
そのままなんやけど。
ただほんまに会いたいと思ったから送ってもてた、そう言えば良かった。
素直にそう言えば良かったのに私は勇気がなかった。
「酔っててん! 送った記憶すらなくてな! やから気付いた時に"間違い"やって送ったやろ?」
それは間違いではない。
恥ずかしさを誤魔化そうとして"間違えた"と送ったことは。
ただそれ自体が間違っていることに私は気付いてなかった。
康ちゃんの目が段々と細くなっていく。
「は?」
と、初めて聞くくらいの低い声に「え?」と思わず身を引いた。
「なんやねんそれ。流石に笑えんやろ。てっきりなんかあったと思って東京から帰ってきた俺はなんなん? ただのマヌケやんか」
「康、ちゃん、」
手を伸ばして腕を掴むと、ふいっと顔を背けられた。
.
3693人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 未憂さん» 未憂さま、ありがとうございます(o^^o)是非結婚してやってください(笑) (2020年12月5日 21時) (レス) id: 86c2a4761a (このIDを非表示/違反報告)
未憂(プロフ) - ふぁーーーーーーーーーー!!!!!(訳:最高です最高すぎました鈍感康二くん大好きです結婚してください) (2020年12月5日 1時) (レス) id: 0ef84b32c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。さま、コメント有難うございます!ほんとですか!?私自身は彼主のお話読んだ事がなくて(おい!)、なので読んで下さった事が素直に嬉しいです!そして気に入ってもらえたようでそれも嬉しいです!有難うございました!これからも頑張ろうと思います! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - うさのすけさん» うさのすけさま、コメント有難うございます!この方今までの誰より周りに助けてもらいました(笑)私自身も皆さんに支えてもらい完結させる事もでき本当に感謝です。またキュンをお届けできるように頑張りたいと思ってます(^^) (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あまとうさん» あまとうさま、コメント有難うございます!お心遣いもとても嬉しいです。シリーズの繋がりには力を入れていたので褒めてもらえて嬉しい(^^)今は前向きな気持ちで考えてますので、気長に待っていただけたらなと思います! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年11月8日 1時