幼なじみは鈍感な向井くん。【橙】

東京の友人 ページ12

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「てなわけで、今月の売上は以上っすね」




東京で店を任されて半年が経った。

立地が良かったからか、それなりにお客さんも来てくれはるし、こっちでの生活にもそれなりに慣れた。



オーナーに電話報告をしてスマホをテーブルに置く。



時計を見れば夜の１０時を回ってた。


そろそろバイト雇ってもええかもしれんなあ。




「ん？」


タイミングよくスマホが鳴って電話に出たら、こっちに来てよくしてくれるふっかさんって人からやった。



「なに〜？」

「おう、おつかれ！ 仕事終わってる？」

「ああ今ちょうど終わったとこやわ」

「お！ だったらちょっと出て来ねぇ？」

「ん？」



ふっかさんと知り合ったのは、この店を出す町内の集まりでのこと。

この辺のゴミ出しのルールやら、あそこのコロッケは美味いでとか、あっちの店のバイトはめっちゃ可愛い子おんでとか、俺が大阪から一人で来た言うたらやたらと面倒みてくれるええ人や。







「おーす！ おつかれさーん」

「お、来た来た！ こっちこっち！」


呼び出されて行った先の居酒屋で、俺を手招きしていたふっかさんと、



「あれ、舘もおったん？」

「おつかれ、康二」



焼き鳥居酒屋で優雅にワインなんか呑んでるこの男も近所で洋食喫茶をやってる宮舘涼太くんって人。

舘とも町内の会合で知り合ったし、ふっかさんと舘とは割と歳も近くて自分が店長っていう立場もあってか直ぐに仲良うなってん。




「おつかれ！ て、ごめんなさいね、遅くなってもて！」

「わあ！ ほんとに関西弁だ！」

「今どきそんなに珍しいないやろ？」

「テレビで芸人さんの聞くくらいですよ！」

「そうなん？ そんなもん？」



一番端に腰かけて早々に目の前に座ってる女子三人に挨拶。

塩麹よりも向井康二ですぅってな。


けどあっかん、まったくウケんかったわ。




「舘、舘、あかんてこれ！」

「なにが？」



小声で隣の舘に耳打つ。



「全く笑ってくれんやん！」

「ああ、あの挨拶？」



うんと頷いたら「挨拶だもん真面目に聞いてくれたんだよ」やって。アホか！


ボケてんねん！
そこに真面目な聞き役いらんねん！突っ込んでや！！




「はいはーい！ じゃあ野郎も人数揃ったことだし改めてカンパーイ！」




既にほんのり頬や鼻の赤くなってるふっかさんが声をかけて、みんなで乾杯をする。



合コン、めっちゃ久しぶりやねんけど。





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