黒猫が横切って啼いた。

少女ともう1人の話−８ ページ9

私は今さらながら、結衣の言ったことを思い出した

ドッペルゲンガー！！
で、でも…

ドッペルゲンガーって人と話さないんじゃぁ…

私の疑問を読み取ったかのように、"私"は笑う

「ドッペルゲンガーって言っても、"私"という存在に一番近い言葉を使っただけだから
　その定義かな？になると、細部は違ってくるよ」
「えっと、じゃぁあなたはホントはドッペルゲンガーじゃない？」
「えぇ
　せっかくだから、あなたには私が知っている範囲で"私"という存在について話してあげる」

"私"は一方的にそう言うと、説明しだした

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
"私"は深層心理から生まれた
深層心理は皆繋がっていて、
今回の場合は玲をうらやましいと玲みたいになりたい思う人の心に近い深層心理が
その願いを歪んだ形でくみ取って"私"を誕生させた

ドッペルゲンガーは、そういう存在がなり替わるのに失敗して生まれた話
だから、似ているようでも根本的に違ってくる

"私"が玲と限りなく似た者になれたのは、玲もまた、深層心理で繋がっているため
そこから、必要な情報を取り出し、玲と限りなく似た者と成った

でも、"私"は願いから生まれた歪んだモノ
玲が消えなければ、この世界に留まることができない
なぜなら、まだ深層心理と繋がっている"私"は他の願いもくみ取り、
さらに歪んだ存在となり妖怪か幽霊のように、バケモノに為る

それを防ぐため、玲という存在を消し去る
そうすると、玲がいないという世界の穴が生まれる
そこに玲に限りなく似た"私"がなり替われば、完璧に玲に成ることができ、
深層心理との繋がりも消え、"私"という存在は世界に留まり続けることができる
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

"私"の話をしばらく頭が処理しきれずに、
私は頭の中で心に残った言葉を延々と繰り返していた

――深層心理――
――歪んだモノ――
――願い――

そして…

――――――玲という存在を消し去る―――――――

私の存在を消す？

そういえば、"私"は初めこんなこと言ってたような…
『あなたになり代わろうとしているもう1人のあなたで〜す！！』

あ…

私がやっと"私"の話を理解できたとき、目の前には




ナイフと笑みを浮かべる"私"の姿があった




「わかったよね、だから… 死んでもらうよ？」

少女ともう1人の話−９→←少女ともう1人の話−７

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す