彼らと幽霊の話−5 ページ16
「はぁ、はぁ、、、」
走り過ぎて、息が乱れる
それでも立ち止まれない
________キャハハハハハハッ______
ペタペタペタペタペタペタペタ…
後ろから寒気のする笑い声と不気味な足音が聞こえてくるからだ
逃げたい、なのに
なのに、逃げられない
なぜか?
そんなもの、単純だ
…出口が無いのだ
廊下を端まで走って、階段を下まで降り切っても、
出口が見当たらない
1階ではないのかと、窓の外を見ると、どう見てもそこからの景色は3階から見たものだった
3階から出る事ができない
それを理解するのに、時間はかからなかった
恐怖と混乱で頭がいっぱいになる
いつのまにか俺の周りには、健も、理香も、勝斗も、久美も、誰もいなくなっていた
独りきり…
その理由は、ユイの言葉を思い出したことでわかっていた
幽霊の子供に話しかけると、話しかけた者は、異界に連れ込まれる…
つまり、話しかけたのは俺だけだから、俺しか追いかけられていないのだ
・・・
ペタペタペタペタペタペタペタペタ…
たいして速そうには聞こえない足音が、
段々と近づいている事に気付いたのは3階の廊下を何回走ったときだろうか
自分の足がそろそろ限界に近付いてきたらしい…
そんな中、俺は恐怖でいっぱいの頭で奇跡的にひらめいた
3階から抜けだせればこの地獄は終わるだろうから、下ではなく、上にいってみては?、と
俺はその可能性にすがりつくように上へと続く階段を駆け上る
不気味な足音はついてくる
必死に走る、上る…
ついに屋上の外れかけ、開けっぱなしになっているドアが見えた
屋上に転がり込む
仰向けになり、もうこれで安心だ、と安堵する
…しかし、恐怖は終わらなかった
―――ペタ、ペタ、ペタ
_____キャハハッ、おニィちゃん!_____
バッと起きる
引いていたはずの恐怖がよみがえってくる
「な、なんで…」
疲れ果てた足は一歩も動かない
近づいてくる幽霊は言う
_____おニィちゃん、ツ・カ・マ・エ・タァ____
月明かりの中、浮かび上がった青白い影は
汚れた白い服を着ていて、黒ずんだ足は病人のように細く
何より、目が刳り抜かれたように無く、眼窩が見えていた…
そして…
「――――――――――っ!」
俺の声にならない叫びは、夏の闇夜に消えた
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寒極氷化(プロフ) - とらさん» いやぁ、CMみたいな猫だったら私は嬉しいですけどねww それに、ガン付けている黒猫も可愛い!!!! (2014年6月10日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - それでも黒猫のよく顔を見た人によれば「ガン付けてる」とのこと、確かにシャムとかよりもきつく見える、CMみたいな「鯛食べたい」との要求はないが(笑) (2014年6月9日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - とらさん» それはすごく羨ましいしですね! 私なんか、何回逃げられたことか…(T_T) (2014年6月9日 18時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
とら - 確かに黒猫の不吉な噂は聞きますが自分にしてはその辺にいるただの猫ですね、黒猫に何回絡まれてきたのやら (2014年6月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 76e6498593 (このIDを非表示/違反報告)
寒極氷化(プロフ) - アリスさん» ホントですかっ 自分ではどうもそう思えないので、そう言ってもらえるのは嬉しいです (2014年6月2日 17時) (レス) id: c03204db58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寒極 氷化 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kangoku/
作成日時:2013年11月10日 0時