親友が神になってたんだが (ページ19)

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覚えている、すべてをページ19

　
　
　
「なぁ！俺今回の数学90点だったんだぜ！お前は⁉」

『え……100点、だったけど』

そう言った時のアイツの顔は今でもはっきり覚えている

事あるごとに俺に点数を聞いてきたり、特技を見せてきたり、俺に勝っていそうなことを見つけては報告してくる

……けれど、俺はそれを上回ってしまうのだ

男子高校生の悪ノリでプロレス技を掛けられたときも、幼い頃に長続きはしなかったものの習っていた柔道の術で片付けてしまった

皆はそれを見て笑っていた

アイツにはどれほど屈辱的なことだっただろう

それでも俺に挑戦してきて、面白い奴だななんて思っていた

あの日までは

一度は誰もが経験するであろう恋愛

アイツも例外なく好きな人がいた

告白までしたらしい

……その答えでアイツは変わってしまった

「私は小湊くんが好きなの。小湊くんに自分から挑んで行って負けてる貴方を見てると可哀想に思えるし、何よりダサい」

その日から、怒涛の嫌がらせが始まった

今で言ういじめだ

最初の日は、上靴がなかった

次は、移動教室から帰ってきた時にノートがいくつかなくなっていた

極めつけには放課後に中庭で読書をしていた時、上からバケツで水をぶっかけられた

あの日は河村に断りもせず先に帰ったな

水をかけられたときに犯人がアイツであることを知った

俺が大人に言わないのをいいことにエスカレートしていく嫌がらせ

最終的に堂々と呼び出された

放課後の体育館裏

「お前に全部取られんのはもう嫌なんだよ。お前が学校辞めてくれりゃそれでいいんだけどなぁ」

『い、やだ』

その答えが気に喰わなかったのだろう

一発、殴られた

心が弱っていた俺は抵抗できなくて、恐怖で気絶した

気づけば辺りは真っ暗で、俺は外に放置されていた

口にはガムテープ、手と足は体育館倉庫から持ち出したであろう長縄で縛られていた

誰も明日になるまで気づいてくれないだろうな、そう思っていた

河村「A！A、聞こえる⁉」

『んっ、…んぐっ』

河村「大丈夫だよ。ごめんね、先に帰ってｯ」

『たくや、たくやぁっ』

怖かった

不安だった

自分の瞳から熱いものが零れ落ちる

それと同時にぬるいものが頬に当たった

河村も、泣いている

河村「気付けなくてごめんｯ」

『たくやっ、お前は、味方でいてくれるよな…？』

河村「当たり前だろ！」

退学になったアイツの恨めしげな顔を

俺は今でも覚えている

　