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「A〜、起きなさい!!」
お母さんの声で目が覚める朝。
高校生にもなってお母さんに起こしてもらってどうする、なんていつも言われるけど、もう少しだけ、お母さんに甘えさせて欲しい。
「んん〜…………」
目は開いたけど、まだ眠たくて体は起きなくて。枕元にあるスマホで時間を見てみる。
お母さん、いつも起こすの早いんだからもう少し時間があるだろう。
そう安心したかったから。
時計が示す時間は7時30分。
「え、やばいやばい!!お母さんもっと早く起こしてよ〜!」
「なに言ってるの、何回も起こしたでしょ?!文句言う前に自分でアラームかけて起きなさい。」
「明日から頑張る〜」
ベッドから飛び起きて急いで準備をする。
制服に身を包んでは教科書を詰め込んでリュックを背負う。
「お母さんごめん朝ごはんいらない!!あ、お兄ちゃんおはよー」
「おはよ、朝から騒がしいね」
「やばい詰んだ」
「相変わらずそそっかしいわ、」
リビングで優雅に朝ごはんを食べているお兄ちゃんと会話してる暇なんてないのほんとは!
お兄ちゃんと離れたくて、わざわざ遠い学校にしたんだから。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい、気を付けてね」
「はーい」
ブレザーを腕まくりしては自転車に跨って、家から離れた学校に行く。
お母さんには、お兄ちゃんと同じ学校を進められたけども、だめなの。
私はお兄ちゃんから離れたいんだから。
お兄ちゃんと一緒にいたら、嫌でも分かっちゃう。
私がお兄ちゃんを愛していること。
決して報われることの無い恋をしていること。
わがままだから、やっぱり報われたいって思っちゃうの。
報われなくてもいいから想い続けるなんて、綺麗事にしか聞こえない。
そう思っちゃう私は、あの頃の純粋さなんてもうないのかもね。
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作者名:うどん | 作成日時:2019年6月7日 15時