九つ ページ10
弟や、同じ刀派を持つあいつらは、守らねばならないものがいた。
少しでも安心させてやれよ、なんて。
馬鹿げたことを。これっぽっちも思っちゃいないぜ？
神様は勝手なんだ。自分勝手。
それは付喪神である俺らにももちろん言えたこと。
俺はな、つまらなかったんだ。
こんな何もかも褪せた世界。折れて、本霊に還って、また別の元へ行った方が有意義だろうに。
元主は如何せん度胸が足りなかった。
暴力はあれど破壊はない。全く人間は分からないもんだ。
おかげで俺はこんなにもつまらぬ日々を過ごしてしまった。あぁ、退屈だった。
だが、それも終わりだ。
「っありがとう！
あぁ安心してくれ、ここにお菊を置いてくれるなら、他は全て俺が受け持つさ」
燭台切「そんな大袈裟な。僕らも手伝うよ？
でも、鶴さんがそんなに言うなんて驚いたなぁ」
「ははっ、柄にもなく少し興奮してるんだ。
何せ同じ刀派のやつが来たんだからな！
だから、どうかさせてくれ」
燭台切「うーん…まぁ、確かにね。
彼も鶴さんの方が安心出来そうだし…。
でも、分からないこととか遠慮せず聞いてね？」
「あぁ！もちろん！」
分からないことなぞあるものか。
俺はここにいる誰よりも元主の傍にいたんだ。
お前らの知らない知識も持っている。
あの時は退屈しのぎに見ていたが、まさかこんな所で役に立つとはな……
なにはともあれ、これで邪魔はひとまずないだろう。
薬研「部屋は鶴丸の旦那の部屋にするのか？」
「あぁ。新しく部屋を取るのもなぁ…というのは建前で、お菊を1人で置いておくのはな。
ただでさえ不安定なんだ。傍にいて欲しい」
堀川「突然消えた、なんてことも有り得るんですよね…。うーーん、確かに傍にいた方が安全かも」
「納得してくれた様で何よりだ」
しかし思ったよりも大広間にいすぎた。
そろそろお菊を戻さないと、神気がこびりついちまうな。
「すまん。そろそろいいか？
昨日の今日なんでな。お菊も疲れているだろうし」
三日月「おぉ、それはすまなんだ。
菊丸や、ゆっくり身を休めるといい。
突然すまなかったなぁ」
「大丈夫だ。かおあわせは大切だろう？
だが、おことばに甘えさせてもらおう…。
少し、つかれた」
三日月「あいわかった」
終わり←八つ
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作者名：乱鶴 | 作成日時：2019年6月26日 16時
