93話 ページ50
電話を切った頃にちょうど龍屋敷のすぐ近くに着いた。
「もうここでいいですよ。送ってくれてありがとうございます。義勇さん」
「·············大丈夫なのか？」
私は短く別れの挨拶をして屋敷へと入ろうとしたが、義勇さんの端的な質問に思わず足を止めた。
振り向くと義勇さんは、予想通りほんの少しだけ心配そうな表情で私を見ていた。
「大丈夫ですよ。明日の説明会なら上手くやりますから」
私はなるべく明るい声と表情を意識して答えた。
義勇さんはまだなにか言いたそうな顔をしていたが、彼が口を開く前に私は
「それじゃあ、おやすみなさい」
と、挨拶をして屋敷へと入った
「何かあったら呼べ」
屋敷の戸を閉める直前に聞こえたその言葉に一瞬動きを止めたが、私は戸の隙間越しに小さく頷いて今度こそ中に入った。
「ふぅ」
戸を閉めた私は小さくため息をついた。
さっきの義勇さんの「大丈夫？」の意味はわかっている。明日の説明会で、私は自分に対してそれなりに不信感や恐れを抱いている集団と対峙することになる。それも今日まである程度仲良くやっていた人たち相手だ。キツく感じる人も普通にいるだろうから、義勇さんはそれを心配していたのだろう。
義勇さんは前世で蔦子さんが鬼に殺された時に親戚から異常者扱いされた過去があるから、尚更そういったことには敏感なのだろう。
「別に大丈夫なのにね·····」
前世からの人生経験は伊達ではない。鬼関連のことで一般人から理解を得られないのはある程度仕方が無いと諦めている。でも今回は、その理解を得るために開かれる説明会だ。この仕事を受けた以上、役目はきっちり果たさなければ。
でも······最後の義勇さんの言葉は少しだけ心強かったかもしれない。
「さて、今日の報告書仕上げたら寝ますか」
どこか憂鬱な気持ちが少し晴れた私は、足早に書類がまとめられている部屋へと入った。
さぁ、明日は決戦だ
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
