90話 ページ47
「それと、今日殺した鬼たちについて気になることがあります」
私は戦いのどさくさに紛れて採取した鬼の血が入った小瓶を畳の上に置いた。
「違和感を感じた時咄嗟に採取したものですから量はありませんが、しのぶと珠代さんにこの血について調べて欲しいのです」
「違和感······とは？」
小瓶を受け取ったしのぶは固い面持ちで聞いた。私は戦闘時の記憶や感覚を思い出しながら答えた。
「硬かったんですよ。鬼の首が」
私の言葉にその場にいる者たちは息を飲んだ。
そう······仮にも柱の私が、硬いと感じたのだ。
「気配からしてあの鬼たちが喰べた人の数はせいぜい2、30人程だと思いましたが、それにしては身体·····特に首が異様に硬かったんです」
私を含む柱やある程度経験を積んだ隊士達なら難なく斬れただろうが、入隊して1、2年程度の新人隊士達では仕留め損なっていた可能性が高い。
「あの組織が手掛けていた鬼の研究テーマの中に、鬼の改造もあったよな？」
核心をついた宇髄さんの言葉に私は無言で頷いた。続いてしのぶも、少し考える仕草をした後静かに口を開いた。
「資料を見た限り、あの研究は組織が崩壊した時点ではまだ最初期段階でした。つまり、ヴィラン連合はその研究を引き継いだ上である程度の成果を既に出している·····ということですね」
「そういうことになるわね」
私が肯定すると、他と比べて柱歴が短い五感組に明らかな緊張が走った。
少しだけ間を置いたあと、善逸が躊躇いがちに口を開く。
「つまり······これまでみたいに人を食べた人数とかは関係なく、十二鬼月並に強い鬼がぞろぞろ出てくるかもしれないってこと·······？」
善逸が口にしたその懸念は、今現在考えうる限り最悪の未来と言えるだろう。
「研究がどれだけ進んでいて、最終的にどこをめざしているのかはまだ分からないけど、可能性として頭には入れておくことね」
そう言って私が他の柱達を見回すと、皆即座に頷いて肯定の意を示した。
「とりあえずこの血の方はすぐに解析に回しますが、よろしいですか？」
しのぶは半分腰を浮かせながらお館様に確認を取った。
「頼んだよ。しのぶ」
「承知しました。ではお先に失礼させていただきます」
お館様の了承を得ると、しのぶはすぐに部屋を出ていった。
明日の説明会の後また集まるかもしれないが、多分今日はもう解散になるだろう。
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
