83話 ページ40
「そういえば、さっき沖田言ってたよな？」
ふと思い出したように口を開いたのは障子だった。彼もまた少し離れた場所から幸千と鬼たちの戦いを見ていた。
「あの化け物のことを『鬼』とか、『鬼』を殺すことは合法だとか·····」
「ああ、確かに·····」
障子と一緒に幸千のその発言を聞いていた砂糖もその時のことを思い出した。
「あの時、先生たち沖田のこと捕まえようとしてる雰囲気だったけど······でも沖田が言ったことは否定してなかったよな？てことは沖田が言ったことは事実なんじゃないか？」
砂糖の言葉に生徒たちの間でどよめきが走る。
当然といえば当然だ。
障子や砂糖の言ったことが事実なのだとしたら、つまり幸千が『鬼』と呼んでいる──生徒たちがまだ『人』と認識しているソレを殺すことを合法だと自分たちのクラスメイトが主張した。そしてそれに対して教師たち──プロヒーロー達は否定の言葉を出さなかったということだ。
加えて幸千が言ったとされる「鬼殺は合法」という言葉が仮に事実なのだとしたら、『法』──つまり国が、『鬼』と呼ばれる『人』を殺すことを認めているということなのだ。
それはヒーローを目指すための駆け出しの一歩を踏み出したばかりの生徒たちにとって、『ヒーロー』感が揺らぎかねないほどの問題だった。
「けど先生たちが捕まえたそうにしてたってことは、やっぱり間違ったことなんじゃねェの？」
「でも聞いた限り先生たちは結局捕まえなかったんだよね？じゃあやっぱりさっちんが言ってたことは本当なんじゃない？」
「何言ってんだよ！『アレ』は絶対人だったぞ!?あいつ人殺したっていうのに全く悪びれもしてなかったんだぞ!?
絶対おかしいって!!」
現場を見ていた生徒たちも、見ていなかった生徒たちも、困惑する思いを吐き出すかのようにその場で議論を始めた。
このままではいずれ論争になると判断した塚内は、大きく咳払いをした。
その音に弾かれたように、生徒たちはまた塚内に視線を向けた。
塚内は生徒たちを見据えながら静かに口を開いた。
「彼女が──沖田幸千さんが『鬼』と呼んだ存在については明日の午後に学校で説明があるはずだ。
言うまでもないが、『鬼』については他言無用。明日学校に来るのは事情聴取のためということにしてほしい。
いいね？」
塚内が念を押すと、生徒たちはこの場で知りたそうな者も何人かいたが一応同意した。
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
