80話 ページ37
「緑谷と言ったな？」
「は、はい」
急に声をかけられて僕はビクッとしながら答えたが、さっきまでより緊張はしていなかった。
「ヒーローを目指しているのか？」
「·······」
青年のまっすぐな問いかけに、僕は少し前にオールマイトに言われた言葉もあり答えることが出来なかった。
だが青年は答えを急かすようなことはせず、また僕の方にポンと手を置いた。
「緑谷出久。あの場でお前は誰よりもヒーローだった」
「っ！」
青年のその言葉に、僕はさっきまでとは全く違う胸の震えを感じた。
「誰かを助けたいと思いつつも、危険を冒してまでそれを実行できるものはそう多くはない。
お前がもしこの先ヒーローを目指すなら、今日誰かを助けたいという気持ちに従い、行動に移した時の心を忘れるな」
青年は僕に背を向けたが、最後去り際にこう言った。
「お前がヒーローとなって人を守れる日が来ることを、期待している」
僕は青年の背が見えなくなるまで、視線を逸らすことが出来なかった。
初めてだった。
無個性ではヒーローになれない。
そんな言葉を僕は飽きるほど言われてきた。でも彼は、そんな僕のことを「ヒーロー」と呼んだ。
あの人は僕を「ヒーロー」と呼び、僕のためにその場にいるヒーロー達から敵意を向けられながらも怒りを顕にした。
僕にとってはあの人こそが「ヒーロー」だった。
そして僕は、応えたいと思った。
何かができたわけでも、変わったわけでもない。
でも······
僕のことを「ヒーロー」と呼び、僕が「ヒーロー」になって人を人を守れる日が来ることを期待してくれるあの人に応えられるような──
そんなヒーローになりたいと、僕は強く思った。
「少年」
青年の背を見送る僕の肩を、オールマイトは軽く叩いた。
「ここじゃ話しづらい。場所を変えよう」
「え？」
そうして僕は、オールマイトからワン・フォー・オールを受け継ぐことになった。
「架空」は「現実」に
僕はこの日、最高のヒーローになるための一歩を踏み出した。
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
