72話 ページ29
惚けたようにその場に固まっていた「鬼」たちは、沖田さんが血まみれの腕を突き出した瞬間一目散にそちらへと走り出した。
「稀血だァァァァア!!」
「よこせェェェッ！」
その様におそらく一番驚いていたのは死柄木と黒霧だろう。黒霧は「鬼」に向かって声を荒らげた。
「何をしているのです鬼たち!!命令を聞きなさい！」
「無駄よ」
冷静な声とともに、沖田さんを襲おうとしていた鬼たちの首が一気に飛んだ。
「いくらこの場に何人もの強固性持ちがいても、私の稀血に勝るご馳走なんてそうは無いわ」
「稀血」と言う言葉の意味は分からないが、さっきの様子からして多分沖田さんは、自分の血で「鬼」たちを引き付けたのだろう。
この場に立っている「鬼」は、もういない。
「イヤだァァァッ！死にたくない！助けてくれェェェ！」
体が崩れていく中「死にたくない」と叫ぶ「鬼」の声に、僕は耳を塞ぎたくなった。
沖田さんはその「鬼」の前にしゃがみ、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
「お前にこれまで喰い殺された人たちも、きっと死に際に同じようなことを思ったでしょうね」
その言葉に、場の空気が凍りつくのを感じた。聖母のごとく笑う沖田さんの言葉は続く。
「たかが一度の死でお前に無残に殺された人たちの弔いができるなんて思わないけど、それでも私が言えることは一つよ。
地獄で償え、クソ野郎」
沖田さんを見る「鬼」の目には、はっきりとした恐怖の色が宿っていた。そして「鬼」は声にならない断末魔を上げながら、崩れて消えていった。
「鬼」が消えるのを見届けた沖田さんはおもむろに立ち上がり、死柄木たちの方へと視線を向けた。
「さて、お前たちには色々聞きたいことがある。身柄を拘束させてもらおうか」
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
