55話 ページ12
龍だ……
沖田さんが木刀を振るう瞬間の刹那に見た光景に、僕は今の緊迫した状況も一瞬忘れて見入った。
沖田さんの剣術を子供の頃に読んだ漫画風の例え方をするなら、
激しく
力強く
そして綺麗だ
強く振り上げられた木刀は、蛙水さんの顔に触れる直前だった死柄木の手首を弾いた。それと同時に、ゴキッと不吉な音がその場に響いた。
「グッ」
死柄木は痛みからか呻き声を上げ、沖田さんの方を睨みつけた。
「おいどうしてくれんだよ。これ骨折れたぞ」
そう言って手首をさする死柄木に対して、沖田さんは笑いながら言った。
「良かったわね、それくらいですんで。本気でやってたら今頃あんたの手首は宙を舞ってるわ」
あまりに冷たい声に、僕らは思わず身震いした。
沖田さんは体勢を低くして木刀を構える。あれは何かの本で見た、居合いの構えだ。そしてまた聞こえた特徴的な呼吸の音。
「龍の呼吸 壱ノ型 龍者一閃」
瞬きほどの一瞬の間に死柄木との距離を詰めた沖田さん。だがその木刀の切っ先が届く直前、死柄木は焦った様子もなく
「脳無」
と、恐らくさっきのヴィランを呼ぶ。
凄まじい衝撃が当たりを包んだ。一瞬視界が閉じた後、僕らが見たのは──
「なっ!?」
へし折れた沖田さんの木刀と、恐らく片腕を斬り飛ばされたのであろう"脳無"。死柄木は脳無の後ろにいる。あの一瞬で、沖田さんと死柄木の間に入ったのか？
脳無がもう片方の腕を沖田さんに向けて振り上げる。これはヤバイと思って、僕は咄嗟に動いた。
「沖田さん！離れて!!」
直ぐに僕の意図を察したらしい沖田さんは、直ぐにその場から飛び退く。
「SMASH」
僕は拳を脳無に叩き付けた。当然"力の調整"なんて全く考えていない。だが──
「──!?」
腕は折れてなかった。
(折れてない!!?
"力の調整"がこんな時に!!
出来た!?うまくスマッシュが決まった!!!やった…)
と、喜んだのもつかの間。脳無は無傷だった。驚愕と同時に頭に浮かんだのはさっきの蛙水さんと沖田さんの言葉。
「…殺せる算段が整ってるから、連中こんな無茶してるんじゃないの？」
「さっきぶちのめしたヴィランから聞いたのよ。広場にいる手だらけ男の死柄木と、私たちを散らした黒霧って奴がオールマイト殺しを実行する役だとね」
……まさか…
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ナツピー(プロフ) - ダイヤさん» ありがとうございます(*^^*) (2021年10月8日 7時) (
レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
ダイヤ - 更新頑張ってください (2021年10月7日 16時) (レス) @page42 id: 1ad51ff6bc (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - セツさん» コメントありがとうございます。いろいろ拙いですけど楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。 (2021年1月12日 23時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - 面白いです！これからも更新頑張ってください、応援しています！ (2021年1月12日 22時) (レス) id: b28a5b6b48 (このIDを非表示/違反報告)
ナツピー(プロフ) - 吉吉さん» コメントありがとうございます(^^)そう言っていただけて嬉しいです！ (2020年8月28日 21時) (レス) id: 41b7b6a015 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツピー | 作成日時：2020年6月2日 22時
